令和8年2月定例会
予算特別委員会
答 弁 実 録
1 人口減少下における財政運営について
(1)本県財政の持続性に対する現状認識について知事
(2)県債の中長期的なマネジメントについて
2 社会動態改善に向けた取組ついて
(1)本県の転出超過に対する現状認識について
(2)東京都との所得差縮小に向けた対応について知事
(3)市町における移住の定義及び測定方法について
3 市町振興基金の活用について
4 今後の観光施策について
(1)国際サイクリング大会について知事
(2)持続可能な観光推進体制の構築について知事
自由民主党広島県議会議員連盟
出 原 昌 直
1 人口減少下における財政運営について
(1) 本県財政の持続性に対する現状認識について
本県の一般会計は1兆円を超える規模となっておりますが、財政の健全性を論じる際に重要なのは、単年度の予算規模ではなく、将来世代にどれだけの負担を残しているのかという「ストック」の視点であります。すなわち、県債残高と将来負担比率であります。
将来負担比率とは、地方債残高や債務負担行為など、将来負担すべき実質的債務総額を分子とし、標準税収入額等に普通交付税と臨時財政対策債発行可能額を加えた標準財政規模を分母として算出される指標であります。
したがって、分母である標準財政規模が縮小すれば、同じ債務水準でも比率は上昇する構造となっております。
令和8年度施策及び事業案の概要によれば、本県の将来負担比率は令和8年度見込みで183.2%とされ、財政運営目標として「190%程度に抑制する」と示されています。
確かに、過去には200%を上回る水準にあったことを踏まえれば、一定の改善努力が行われてきたことは理解いたします。
しかしながら、この183.2%という水準が、仮に今後、人口減少の進行や経済規模の縮小により税収基盤が弱体化すれば、この分母は縮小する可能性があります。
分母が縮小すれば、同じ債務残高であっても将来負担比率は上昇し、実質的な財政負担は重くなります。
本県は全国と比較しても将来負担比率が高い水準にあると指摘されており、人口減少が進む局面においては、現時点の改善幅のみをもって楽観視することは適切ではないと考えます。
したがって、単に「200%から183.2%に改善した」という評価にとどまらず、人口減少を前提とした持続可能性の観点から、この水準が十分に安全圏にあるのかどうかを検証する必要があります。
そこで、人口減少が進む中、将来負担比率183.2%という現状をどのように受け止め、財政持続性をどう評価しているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
御答弁いただきましたとおり、類似団体の平均よりも依然高いということであります。
令和元年には広島県商店将来負担比率は223%であったものが、令和8年度見込みで183.2%と、約40%改善をしています。
類似団体の平均では約30%の改善ということでありますので、評価はできますけれども、類似団体の平均は令和6年度165.5%と、広島県の水準は非常に高いというふうになります。
標準財政規模が縮小したとしても将来の負担を抑制し続けることが大切です。
<知事答弁>
183.2パーセントという、令和8年度当初予算編成時における本県の将来負担比率の見込みは、「県政運営の基本方針2026」に財政運営目標として掲げている190パーセント程度の範囲内に収まりますが、全国と比べ、依然として高い水準となっております。
また、本県財政が高齢化の進展に伴う社会保障関係費の増加や、物価・金利の上昇などにより、厳しさを増す中で、急速な人口減少など、社会経済情勢の先行きの不確実性は高まっており、その持続性を確保する観点からも、必要な社会資本整備などの投資は進めつつ、引き続き、将来負担の縮減を図っていく必要があると考えております。
(2) 県債の中長期的なマネジメントについて
次に、県債の中長期的なマネジメントについて、お伺いいたします。
令和8年度施策及び事業案の概要によると、本県の実質的な県債残高は令和7年度見込み1兆2,231億円から、令和8年度見込みで1兆2,559億円へと、328億円増加する見通しが示されております。
また、経常収支比率も令和7年度見込み95.7%から令和8年度見込み96.8%へと、1.1%上昇する見込みであります。
災害対応や社会保障関係経費の増加など、一定のやむを得ない要因があることは承知しております。しかし、人口減少が続く中で債務残高が増加すれば、将来の政策選択の自由度は確実に狭まります。
さらに、金利上昇リスクへの対応も重要であります。
これまで低金利環境が続いてきましたが、仮に長期金利が上昇した場合、利払いの増加が財政に影響を与えるといったリスクについても見込み、その影響を吸収するための備えが必要と考えます。
そこで、税収基盤の中長期的な見通しや金利上昇リスクを踏まえ、本県として、県債残高をどのようにマネジメントしていくのか、総務局長の御所見をお伺いいたします。
<総務局長答弁>
本県の実質的な県債残高につきましては、計画的な縮減に取り組んでまいりましたが、令和2年度以降、頻発した豪雨災害への対応の影響などにより、増加傾向にございます。
さらに、今後も物価高や、金利の上昇による県債の利払い負担の増加も見込まれることなどを踏まえると、本県の持続可能な財政基盤を維持するには、社会資本整備等の着実な推進との両立を図りつつ、将来負担の縮減に努めていく必要があると考えております。
このため、今後の次期財政運営方針の策定におきまして、税収など、中長期的な収支見通しをお示ししながら、国庫補助金や交付税措置率の高い有利な県債などを積極的に活用しつつ、将来負担比率や県債発行額・残高を適切にマネジメントするための具体的な方針について検討を進めてまいりたいと考えております。
臨時財政対策債は約1.2兆円の残高であり、県債を合わせると約2.2兆円の残高となります。
臨財債においても金利負担がありますので、借り換えの金額、時期によっても異なりますけども、金利が1%上昇すれば約20億円の金利負担ということになります。
また、2030年の開業予定の新病院の事業規模が約1,400億ということでありますので、県債発行がさらに増えていくという見込みです。
豪雨災害コロナ禍の影響もあり、令和2年度から7年連続で1兆円を超える財政規模になっています。
規模ありきではないということは承知をしておりますけども、令和8年度は過去最大の予算規模となる予定です。
昨日の竹原委員の質問に対して、知事からは、社会保障費の増加、物価金利の上昇、高校無償化学校給食の負担軽減ということで、義務的経費の増大は、必然的なものという答弁がありました。
義務的経費の増加というのは続くものであると考えますので、公債費の返済、県債発行額マネジメント、持続的な財政基盤の確立を要望して次の質問に入ります。
2 社会動態改善に向けた取組について
(1)本県の転出超過に対する現状認識について
次に、社会動態改善に向けた取組について、お伺いいたします。
まず、本県の転出超過に対する現状認識について、お伺いいたします。
本年2月に公表されました総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告によると、本県は依然として転出超過が続いております。
そして、その議論においては転出超過数ばかりに焦点が当たり、強調されがちであります。
確かに転出超過数は分かりやすい指標ではありますが、人口規模の大きい都道府県ほど数値が大きくなりやすいことも事実であり、転出超過数での順位だけで議論すると、構造的な改善の有無が見えにくくなる懸念もあります。
また、人口減少が進む中では、母数となる人口が縮小したため、転出超過数が表面上、縮小したように見えるケースも考えられます。
分母となる人口規模や人口減少ペースが各自治体で異なることを考慮すると、政策効果を測る観点からは、人口に対する転出超過率で評価することがより実態に即していると考えられます。
また、先般、2月定例会におきまして、直近の統計で「社会減に歯止めの兆しが見えてきている」「20から24歳、25から29歳、30から34歳のすべての年齢バンドにおいて、2年連続で改善したのは愛知県と広島県の2県のみ」といった説明もあったところですので、この場でもう少し要因分析の観点から確認したいと思います。
そこで、住民基本台帳人口移動報告に基づき、転出超過率で見た場合の本県の全国的な立ち位置と、改善の兆しは転出側と転入側、それぞれでどういった変化が顕著に見えてきているのか、経営戦略審議官の御所見をお伺いいたします。
<経営戦略審議官答弁>
まず、委員御指摘のとおり、社会動態における昨今の状況といたしまして、国内移動だけを切り取った転出超過数や全国順位等が多く報道されるなど、県民の皆様に実態に即した情報が届いておらず、必要以上に御心配をお掛けしているのではないかと考えております。
このため、本県が置かれている状況について、より実態に即したデータを県民の皆様にお伝えするとともに、施策効果の分析などに利用していくことが非常に重要であると考えております。
こうした観点から、住民基本台帳人口移動報告で本県の国外の移動も含む「転出超過率」を見ますと、令和5年以降、全国順位は30位から28位に上がっております。
次に、年齢バンドと性別で比較できる日本人の国内移動の転出率におきましては、男女ともに25歳から39歳までの、第二新卒を含む若者世代の改善が顕著で、全年齢での転出率の全国順位は、33位から26位に上がっております。
同様に、転入率におきましては、男性は20歳から24歳、女性は25歳から29歳までの、新卒及び第二新卒の改善が顕著で、全年齢での転入率の全国順位は、24位から22位に上がっております。
御答弁いただいたとおり、転出超過率は28位、転入率は22位ということであります。
ワースト1位というのが5年連続というのを報道されてますけども過度な報道と実態は異なるというふうに私自身も思っています。
また、一定の改善傾向が見られるというのは大変評価すべきところでありますけども、重要なことは、この改善が偶然の動きであるのか、政策的要因によるものなのかを、特定し、その動きを確かなものにしていくことだと思いますので、よろしくお願いいたします。
(2)東京都との所得差縮小に向けた対応について
次に、東京都との所得差縮小に向けた対応について、お伺いいたします。
東京都との所得水準の差につきましては、産業集積や企業規模、本社機能の集中など、長年にわたり形成されてきた構造的要因に起因するものであり、短期間で解消できるものではないと認識しております。
内閣府の県民経済計算によれば、令和4年度の一人当たり県民所得は東京都が約604万円であるのに対し、本県は約328万円とされており、一定の開きが存在しております。
この差は単なる賃金の問題というよりも、付加価値の創出力や産業構造の違いを反映した結果であると考えられます。
もっとも、若者が進学や就職の際に居住地を選択するに当たり、将来の所得水準を意識することは自然なことであり、この現実を直視しないわけにはまいりません。
所得差が直ちに縮小しないという前提に立ちつつも、本県として、どのように県内産業の競争力を高め、結果として所得水準の向上につなげていくのかという視点は、引き続き重要であると考えます。
県内企業の収益力や付加価値創出力が高まらなければ、持続的な賃金上昇は難しいという一般的な構造は理解しておりますが、その具体的な道筋は一様ではありません。
既存産業の高度化を図るのか、新たな成長分野の育成を重視するのか、企業規模の拡大を促すのか、人材育成を基盤とするのか、その組み合わせは様々でありますが、重要なのは、県としてどの方向性に軸足を置き、どのような考え方で産業政策を整理していくのかという点であります。
また、企業が賃上げを行うためには、単発的な支援策だけでなく、継続的に収益を確保できる経営環境の整備が不可欠であります。
そのための環境整備をどのように進めるのかという点も、産業政策の重要な論点であると考えます。
そこで、東京都との所得差という構造的な課題をどのように受け止め、本県として県内産業の競争力強化や企業の収益力向上をどのような方向性で進めていくのか、また、企業が持続的に賃上げを行える環境づくりについて、どのような考え方で取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
<知事答弁>
東京においては、人口や企業、大学などあらゆるものが集中し、そのことが、ヒト、モノ、カネ、情報を更に集中させるという構造となっており、東京都との所得水準の差の是正に向けましては、様々な取組を粘り強く進めていく必要があると考えております。
こうした考えのもと、産業構造の転換に向け、半導体関連産業など新成長産業の育成・集積や、デジタル系企業を中心とした本社・研究開発機能の移転・拡充に注力してまいります。
また、本県の基幹産業であるものづくり産業の更なる進化に向け、競争力強化や収益力向上を図るため、企業の持続的発展の原動力となる研究開発の強化、国内外の販路開拓や新事業展開支援に加え、生産工程のDXの推進などに取り組んでまいります。
さらに、企業の持続的な賃上げを図るため、これらの収益力向上に向けた取組とともに、パートナーシップ構築宣言の普及啓発や、価格協議の実効性を高めるワークショップの開催など、適切な価格転嫁の実現に向けた取組を進めることにより、賃上げ原資の確保につながる環境整備に取り組んでまいります。
こうした取組を着実に進めることにより、東京都との所得差の是正につなげてまいります。
御答弁いただきましたとおり、粘り強く長期的に行っていかないといけないというふうに思います。
例えば、給与差があっても働きたいと思う魅力的な仕事場を創出していくということが大事だと思っています。
私自身、民間の立場でありますが、過去3年で約1,000人の移住希望者の方々とオンラインの面談をしてきました。
これは肌感覚でありますけども、希望年収との差が4割ぐらいあるというふうに感じています。
この差が2割ぐらいまでに収まると移住希望者がどんどんこの広島県に移住してきてくれるんだろうなというふうにも思っています。
さらに、年収の差があっても東京では味わえない喜びであったり、仕事環境を作っていくということも大事だと思っています。
また、これは様々な機会でお伝えさせていただきましたけども、道筋を県民にわかりやすく示すためにも、県民総生産であったり、県民所得の目標を広島県が掲げて、各施策を進めていくことが必要であると感じています。
外部要因が多く、なかなか設定が難しいという答弁もありますけども、実際に目標として明記している他県もありますので、そのことを要望して次の質問に入ります。
(3)市町における移住の定義及び測定方法について
次に、市町における移住の定義について、お伺いいたします。
来年度当初予算案においては、移住関連施策として、ひろしまスタイル定住促進事業や県・市町一体型プロジェクト推進事業といった事業費が計上されております。
こうした移住促進政策の効果を評価するためには、まず前提となる「移住」の定義が明確でなければなりません。
定義が明確でなければ、その結果を測る基準も曖昧なものとなり、議論そのものが成り立ちません。
現在、移住の定義は市町ごとに差異があるのではないでしょうか。
住民票の移動を必須とするのか、一定期間の定着を条件とするのか、二拠点居住やテレワーク型の関係人口を含めるのか、これらが統一されていなければ、転入者数の比較も、施策効果の検証も困難になります。
定義を広げ過ぎれば、成果が大きく見える一方で、施策との関係性が乏しくなり、財源配分の優先順位を見誤る危険もあると思います。
私は、移住は単なる「人数」ではなく、「人」であると考えています。
どのような人材が、どのような役割を担い、地域にどのような波及効果をもたらしたのか。数字だけでは測れない定性評価も不可欠です。
しかし、その前提として、定量評価の基準が明確でなければなりません。
さらに、移住の定義が曖昧なままでは、限られた財源をどこに重点投入すべきかという「選択と集中」の判断もできません。
また、こうした課題認識は、私個人の問題提起に留まるものではなく、昨年1月に開催された備後地域振興協議会においても、人口流出対策プロジェクトから提言として、「移住者」の定義及び集計方法の県内統一を求める提言がなされており、この提言において、自治体ごとに異なる移住者の定義では、施策効果の検証も圏域連携も困難であると指摘されております。
そこで、県として市町における移住の定義を今後どのように取り扱い、移住促進施策の効果を測っていくのか、地域政策局長の御所見をお伺いいたします。
<地域政策局長答弁>
移住施策の効果を測る移住の定義につきましては、県、市町共通で、「県や市町の移住施策を経て移り住むこと」としておりますが、移住を把握する対象となる施策については、各市町で取り組む移住施策が異なることから、各市町の判断に委ねておりました。
こうした中、備後地域振興対策協議会人口流出プロジェクトからの提言を踏まえ、今年度、市町との会議において、移住を把握する対象となる施策について意見交換を行いました。
この中で出た意見を踏まえ、来年度から、移住を把握する対象となる施策を、市町間で比較し、効果検証ができるよう、移住相談、空き家相談、移住支援金交付など、県が具体的に示した上で測定することといたしました。
今後も、市町と意見交換を行う中で、移住を把握する対象となる施策の見直しなど、必要に応じて測定方法を改善し、PDCAを適切に回していくことで、移住の促進につなげてまいります。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
3 市町振興基金の活用について
次に、市町振興基金についてお伺いいたします。
市町振興基金は、昭和43年に設置され、地方債では対応できない公共施設整備に対し、これまで総額延べ535億円の貸付けを通じて市町のまちづくりを支援してきた基金であります。
この基金は、平成14年の条例改正により、貸付機能に加えて、一部を取り崩して市町の振興事業に充当する積立基金としての機能も追加されましたが、平成22年度以降、地方債の多様化により貸付けニーズが減少し、新規貸付けは行われなくなり、令和2年度には市町からの償還も終了しました。
こうした状況を踏まえ、令和4年度から基金の今後のあり方が検討され、人口減少や少子高齢化といった地域の課題を踏まえ、引き続き市町振興のための財源として活用されることが決定され、令和7年度以降、貸付に関する規定を削除し、積立基金としての必要な規定を整備する条例改正が行われたところであります。
令和8年度予算案を拝見しますと、市町振興基金については、一定額の活用が予定されていると見受けられます。
基金の活用は、地域課題への対応や政策目的の実現に資するものである一方、基金は限られた財源でもあることから、その充当の考え方や基準については県民にも分かりやすく説明されることが重要ではないかと考えます。
そこで、市町振興基金がこれまで果たしてきた役割についてどう認識しているのか、また、令和8年度予算案において、市町振興基金は具体的にどのような事業に、どのような考え方に基づいて充当することと整理したのか、地域政策局長の御所見をお伺いいたします。
<地域政策局長答弁>
市町振興基金は、市町の振興を図ることを目的として、市町が行う一般廃棄物処理施設や老人福祉施設、道の駅などの観光交流施設等、その時々の行政課題に応じた公共施設の整備事業に対し、資金の貸付を行い、支援してまいりました。
それ以外にも、市町村合併や、地域経済の活性化などに向けた市町の取組を支援する県交付金の財源として活用するなど、市町のまちづくりをソフト、ハードの両面から支援する役割を果たしてきたものと認識しております。
令和8年度におきましても、市町の振興に資する事業に活用するという考え方に基づき、バス路線や航路に対する運航経費の補助など、市町の生活交通の維持確保に資する事業や、地域の適正な農業生産活動の維持のため、市町が集落などに対し行う支援経費への県交付金などのほか、若者の定着・回帰に向けた市町の取組を支援する「県・市町一体型プロジェクト」にも充当したところでございます。
市町振興基金は、令和7年度の残高が15億円であったと思います。
御答弁をいただきましたが、もう少し詳しく言いますと、県市町一体型プロジェクトで8,700万円、地域公共交通維持確保で7億円、中産間地域直接支払事業で3億円を、基金から繰り入れられています。
約11億円を繰り入れられてますけども、そうなりますと、令和8年度末の残高というのが4億ということになります。
今後こういった取組を続けていくためには、令和9年度以降ですけども、一般財源を活用するのか、また国から有利な財源を引っ張ってくるのか、考えていく必要があると思います。
市町の大事な取組ですので、財源確保に向けて、なおかつ継続をしていただきたいと思っています。
また、市町との取組に関しましては、最小の経費で最大の効果を発揮することが必要です。
先進的な取組だけではなく、他の自治体の成功事例を研究し、取り入れることで成功確率を上げていくということも選択肢の1つだと思っています。
一例を挙げさせていただきますと、ふるさと納税や、子育て支援で財政のV字回復を図り、人口増加を実現して注目をされている茨城県の栄町という2万4000人の人口規模の町ですけども、住みたいまち2年連続で全国1位となっています。
町長の話を聞く機会がありましたけども、成功した要因は何ですかと聞かれたとき、「全国の成功事例を徹底的に研究して、まねしていく」ということを言われていました。
大変印象的な言葉でした。
先進的な取組というのは話題にはなりますけどもぜひ、いろんな地域の研究をしていただいて、まねるということも大事だと思いますのでそのことをお伝えして、次の質問に入ります。
4 今後の観光施策について
(1)国際サイクリング大会について
次に、今後の観光施策について、お伺いいたします。
まず、国際サイクリング大会について、お伺いいたします。
本大会は、瀬戸内の自然や景観、地域資源の魅力を国内外へ発信する重要な取組であり、本県の観光戦略の象徴的な事業であります。
サイクリングしまなみ2024は、国内47都道府県・海外27か国から参加者3,446名を集め、外国人の参加者割合は過去最高水準と報告されています。
さらに、大会の経済効果は、いよぎん地域経済研究センターによると、大会の事業費約3億6千万円に対し、その経済波及効果は大会事業費の約1.22倍に当たる約4億4千万円であり、大会参加者、観客などの関連消費や大会事業費による直接効果は約2億9千万円、生産誘発などの間接効果は約1億5千万円、また、広告宣伝効果は約8千万円であったと推計されております。
このように、大会開始から10年が経過し、国内外から多くの参加者を呼び込み、経済効果を生み出していることを踏まえると、サイクリングの聖地としての認知は相当程度が進んでおり、当初の目的は一定程度達成されたと考えられます。
来年度当初予算案におきましても約1億8千万円の予算が計上されているところですが、今後は大会そのものの成功や聖地としての認知向上に加え、大会を起点として県内各地への周遊や消費拡大をどのように実現していくのかが、より重要になってくるのではないでしょうか。
もっとも、周遊促進は決して容易な取組ではありません。
例えば、大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭といった大型イベントは、広域的な来訪を生み出す契機となり得るものでありますが、実際には来訪者の動線が開催地周辺に集中し、広域的な波及へとつなげることの難しさが指摘されてきました。
これは、大型イベントが開催されれば、自動的に周遊が拡大するというものではなく、来訪者の周遊行動の実現には意図的な設計や仕掛けが必要であるという、重要な示唆を与えているものと考えます。
例えば、参加者に大会前後に中山間地域や島しょ部などで宿泊することを推奨するような企画を実施することもアイデアの一つと考えます。
その上で、参加者や観戦者がどの地域を訪れ、どれだけ滞在し、どれだけ消費したのか、延べ宿泊者数や平均滞在日数、周遊率の推移などを把握し、大会が特定地域にとどまらず、県内全域へと波及しているのか、その実態を検証することが重要と考えます。
大会の成果を単発的な経済効果にとどめるのではなく、広域的な観光動線の形成にどう結びつけるのか、それが今後の10年に向けて問われている課題ではないでしょうか。
そこで、国際サイクリング大会を、県内周遊の拡大へどのように結びつけていくのか、また、その成果をどのような指標により把握していくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
<横田知事答弁>
これまでの国際サイクリング大会の開催により、サイクリストの聖地としての認知度は大きく向上した一方で、大会参加者へのアンケートによると、大会前後に観光した人の割合は6割程度であり、また、その訪問先の多くはしまなみ海道エリアにとどまっております。
このため、来年度の大会につきましては、大会出走権と県内の観光地を組み合わせたツアーの実施や、大会会場における県内各地域の観光PR、ウェブサイトによるサイクリングと食などを楽しむ観光情報の発信などに加え、新たに観光関連事業者等と連携し、大会参加者の周遊を促す参加者特典の提供などの取組も検討することとしております。
これらの取組の成果を検証するため、アンケート調査や人流データ等により、大会前後における宿泊日数や周遊箇所などを把握し、より効果的な周遊促進策を検討してまいりたいと考えております。
御答弁いただきましたとおり、大会の前後でもツアーの実施も検討していただけるということであります。
質問でも言いましたけども、関西万博や瀬戸内国際芸術祭が開催をされた際、広島県内の周遊を期待していた宿泊事業者に話を聞きますと、例年の夏よりも宿泊者数が少なかった。
大体近隣で周遊して広島まで来られなかったという話も聞いていますので、ぜひ周遊観光に力を入れていただきたいと思ってます。
また、令和6年の予算特別委員会でも指摘をさせていただきましたけども、広島県と愛媛県との協賛の比較です。
2022年の大規模大会においては、広島県の協賛が790万に対して、愛媛県は4600万の協賛金を集めています。
また、2024年の中規模大会では、愛媛県は3000万円の協賛金に対して広島県700万円のみということであります。
協賛金が少ないということは県の負担も多いということでありますので、先ほどご答弁いただきましたこの大会の目的を周遊観光に広げていただくことで、協賛の企業も広島県全域に広げることができると思っていますので、協賛金、できる限り増やして、県の負担を減らしていただきたいというふうに思っています。
ぜひ大会を通じて、この周遊観光を実現する契機にしていただきたいということを要望して、次の質問に入ります。
(2)持続可能な観光推進体制の構築について
次に、持続可能な観光推進体制の構築について、お伺いいたします。
観光は、本県の経済成長を支える重要な分野であり、人口減少が進む中にあっても、県外・海外から人と消費を呼び込む力を持つ戦略的分野であり、その中核的な役割を担う観光連盟の機能は、今後ますます重要になるものと考えております。
近年、観光需要は回復基調にあり、総観光客数や宿泊者数も増加傾向にあり、来年度からは宿泊税の導入も予定されており、観光振興に活用できる財源の安定化が図られることとなります。
このような環境変化の中で、観光連盟の役割や位置付けをどのように整理していくのかは、今後の観光政策全体の方向性にも関わる重要な論点であります。
観光連盟は、これまで県の観光施策の実施主体として、プロモーションやイベントの企画運営など、様々な役割を担ってきました。
その公益的な機能は今後も変わるものではなく、県との連携の中で施策を推進していくことが基本であると認識しております。
一方で、観光振興が高度化し、デジタル化やブランド戦略の重要性が増す中で、観光連盟がどのような役割を担い、どのような姿を目指していくのかという点について、一定の整理が必要ではないかと考えます。
単年度の事業を積み重ねるだけでなく、観光地としての価値を中長期的に高めていく視点が重要であります。
その一例として、観光連盟が展開しているキャラクター「ひろくま」の活用についても触れたいと思います。
「ひろくま」は、本県観光の親しみやすい象徴として、各種プロモーションやイベント、物販などに活用されております。
観光地のイメージ形成において、分かりやすいシンボルを持つことは、認知度向上や情報発信力の強化につながる重要な要素であります。
他方で、こうしたキャラクターやブランドは、単なる広報素材にとどまらず、観光地の価値を体現する「ブランド資産」として育てていく視点も必要であり、継続的な投資や企画の高度化も求められます。
その際に重要となるのが、団体としての運営の持続可能性であります。
私は、観光振興は公益性が高く、公的な支援は一定程度必要と考えております。
しかしながら、仮に団体が努力により一定の収入を確保した場合に、その成果が補助金の減額につながる仕組みとなっているとすれば、団体側にとって、積極的な収益確保のインセンティブが十分働かなくなる可能性もあるのではないかと懸念しております。
観光連盟が得た収入が、適切に次の事業展開やブランド力の強化に活用される仕組みとなっているのかどうか、また、県からの支援との関係がどのように整理されているのか、公的な支援と団体の主体的な取組が相乗効果を生む形になっていることは、今後の観光振興の持続性を左右する重要な論点と考えます。
加えて、広域的な観光戦略を担うせとうちDMOとの関係性の整理も重要ではないかと考えます。
宿泊税という安定財源が導入される中で、県内の観光振興と広域的な観光振興をどのように役割分担し、どのように重複を避けつつ相乗効果を高めていくのか、その整理が一層重要となると考えます。
そこで、観光連盟及びせとうちDMOのそれぞれの役割をどのように整理し、今後どのような方向性で、持続的な観光推進体制を構築していくお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
<知事答弁>
本県では、これまで、ひろしま観光立県推進基本計画に記載された役割分担に基づき、県は、中長期的な計画の策定や財源の確保、観光連盟は、県の計画に基づいた県域全体の観光振興や市町等との連携、せとうちDMOは、県域を越えた広域の戦略策定やコンテンツ開発の支援など、それぞれの役割を果たしながら、連携し、観光振興に取り組んできたところでございます。
こうした中、来年度から宿泊税を導入し、市町へも財源を配分した上で、規模を拡大して観光振興施策を進めていくことから、今後、県がより主導的な役割を担いながら、市町や観光連盟、せとうちDMOなどとの連携をさらに深めていくこととしております。
このため、来年度着手する本県全体の観光戦略の策定におきまして、市町や関係団体の意見も伺いながら、今後の具体的な役割の整理やオール広島での観光推進体制について必要な検討を行ってまいります。
御答弁いただきましたとおり、宿泊税が導入をされて今まで以上に県が主導的な立場で役割を果たしていかれるということであります。
せとうちDMOに関しては、DMOの主な役割というのは稼ぐ力を最大化することだと思っています。
しかしながら、国の補助金であったり、各県からの補助金で、せとうちDMOが今継続をしているという実態がありますので、まずはせとうちDMOのこの稼ぐ力というのをどういうふうに成長させていくかというのが、広域的な取組の中でも大きな課題だというふうに思っています。
また、質問の中でも「ひろくま」の取組に触れましたけども、令和6年度公式グッズの「ひろくま」の販売収入というのは令和6年度700万円というふうに聞いてます。
おそらく令和7年度はもう少し増えてくるんだと思いますが、こういった観光連盟の独自の取組でこの700万円という収益が生まれたときに、その収益を広島県に返還するであるとか、補助金を減らすということがあると、せとうちDMOも含めてですけども、観光連盟の独自の取組で、収益をも減らされるというのではなかなかやる気やモチベーションにも繋がらないと思っています。
こういった独自の取組で収益が出たものをさらなる独自の取組に活用し、収益力を高めていくという体質に成長させていくことが大事だと思っています。
広島県としても、観光を県の基幹産業へ成長させるという目標を掲げられ、2030年の観光消費額8000億円を目標にされています。
2023年度が5000億円でしたので、あと3000億伸ばすの大変だなというふうに考えておりましたけども、2024年度の観光消費額は5900億円と、900億円も伸びたというふうに聞いています。
ぜひ広島県として、この観光産業というのを県の基幹産業へ成長させていただくためにも、観光連盟、そしてせとうちDMOの役割分担を明確にして、ぜひ稼ぐ力をつける組織に成長させていただくことを要望して、私の質問を終わります。


