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令和5年6月定例会 一般質問・答弁実録アップしました

令和5年6月定例会

一般質問・答弁実録

《6月28日(水)1番手》

 

 

1 G7広島サミットの総括と今後の展望について 知事

 

2 物価高騰等への対応について 知事

 

3 新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応

について 知事

 

4 人口減少対策について

(1)こども・子育て政策の充実強化について

(2)若年層に魅力ある働く場の創出について 知事

(3)旧市町の地域特性を生かした施策の推進について

 

5 持続可能な地域公共交通の実現と県の役割について

 

 

 

自由民主党広島県議会議員連盟

出 原 昌 直

 

 

 

 

はじめに

皆さん、おはようございます。

自由民主党広島県議会議員連盟、福山市選出の出原昌直でございます。

 

改選後、初の定例会におきまして、最初の質問者として登壇の機会を与えていただき、中本議長、緒方副議長をはじめ、先輩、同僚議員の皆様に、心から感謝を申し上げます。

 

県議会は、県民を代表する県政における最高議決機関として、県民の多様な意見を県政に反映させることを使命としています。

また、本会議は、県議会の最終的な意思決定を行う最も重要な会議です。

本日は、初心に立ち返り、県民・事業者の皆様の声を届けるべく、物価高騰や新型コロナ、また、人口減少問題など、本県が早急に取り組まなければならない重要な課題を中心に、質問をさせていただきたいと思います。

 

本日は、地元の支援者の皆様も傍聴に駆けつけていただきました。

新型コロナが発生した、令和2年2月定例会の一般質問の際には、行動制限がかかり、傍聴をキャンセルせざるを得ませんでした。

傍聴者をお呼びするのは、平成30年6月定例会の一般質問以来、5年振りとなります。

日々、支えてくださっている皆様に、この場を借りて心より感謝を申し上げます。

 

それでは、知事をはじめ、執行部におかれましては、簡潔かつ明瞭な答弁をお願いし、早速、質問に入ります。

 

 

 

 

 

1 G7広島サミットの総括と今後の展望について

質問の第1は、G7広島サミットの総括と今後の展望について、お伺いいたします。

 

サミット成功

本定例会の開会日に、知事説明要旨で知事からも報告されましたが、この度のG7広島サミットは、歴史的に意義のある会議として、大成功に終えることができました。

5月19日の初日は、各国首脳等による平和記念資料館の訪問に始まり、21日の最終日には、ウクライナのゼレンスキー大統領が団結と平和を訴えて終えるなど、これほどメッセージ性が強く、議長国の思いが反映されたサミットは、過去にもなかったのではないでしょうか。

サミットが安全に開催され、多くの成果が得られたことは、岸田総理をはじめ、知事が会長を務められ、官民一体となって準備を進めてこられた広島サミット県民会議の皆様や、昼夜を問わず、万全な警備体制を構築された全国の警察関係者、そして、厳重な交通規制等に御協力をいただいた県民・事業者の皆様など、関係された全ての方々の御尽力の賜物であります。

 

平和への取組

平和記念資料館への視察や被爆者との対話など、各国首脳等が被爆の実相に触れるための平和プログラムが実施され、世界に向けて、平和のメッセージが強く発信されたことは、広島県民として大変嬉しく思います。

岸田総理が議長として、核軍縮に焦点を当てた「広島ビジョン」を、初めてG7で独立文書として取りまとめられたことも、大きな成果の一つです。

ロシアによるウクライナ侵略が長期化し、今月にはダムが破壊されるなど、戦禍が拡大しています。また、安全保障環境が悪化する中、世界で核抑止力を強化する動きが広がっています。

広島サミットが、世界平和にとっての転機となるよう、平和な国際社会の実現に向けて、現実的かつ実践的な取組を一歩ずつ推し進めていただくようお願いします。

 

ポストサミットの波及効果

サミットでは、厳島神社から見た瀬戸内海の美しい風景をはじめ、名産の牡蠣やお好み焼き、広島の伝統工芸など、本県の多彩な魅力が、国内外のマスメディアを通じて、世界に向けて発信されました。

パートナーズプログラム等において、広島県産の食材を用いた料理や、選りすぐりの日本酒、ワインなどが提供されたことも大きな話題を呼びました。

これまで本県では、サミット関連事業費として、114億円以上の予算が編成され、加えて、広島市や国でもそれぞれ関連経費が計上されています。

平成28年の三重県伊勢志摩サミットでは、直接的な経済効果として1070億円、広告効果として3098億円、サミット後の経済効果として1489億円と試算結果を公表されています。

 

今後は、サミットの開催効果を一過性のものに終わらせるのではなく、サミットで得られたノウハウや官民の連携体制を最大限生かし、これまで投じた予算に見合う以上の効果を県内全域に波及するよう取り組んでいくことが重要です。

例えば、各国首脳が訪れた平和記念公園や宮島を訪れる観光客が飛躍的に増加することは確実であると思いますが、広島市内から遠い、尾道市、福山市など県東部や、三次市、庄原市など県北部といった、県内全域に国内外観光客の周遊を促進していくための仕掛けが必要です。

波及効果は、単に待っているだけでは、自然には生まれません。

このため、広島県として、各市町に対して、このような施策を推進してほしい、といった具体的な方針を明確に打ち出し、各地域の強みを生かしながら、国内外観光客の増加や国際会議の誘致につなげ、サミットの効果が長続きするように取り組んでいただくようお願いをいたします。

 

質 問

そこで、G7広島サミットを成功裏に収めた今、どのように総括をされているのか、改めて知事にお伺いいたします。

併せて、今後、平和の取組をどのように展開していくのか、また、サミット後の開催効果を、県内全域に波及させていくためには、世界中の人々の記憶が新しい今こそ、観光施策を強化するなど、速やかな対応が必要であると考えますが、どのような取組を推進していこうとされているのか、お伺いいたします。

 

 

 

【知事答弁】

この度のサミットにつきましては、

・ 人類史上初めての被爆地であり、かつ、目覚ましい復興を成し遂げた広島の地から力強い平和のメッセージが発信されたことに加え、

・ 様々な場面を通じて広島の魅力が世界各地に発信されたことが開催の成果であると捉えており、

このことは、本県の未来につながる非常に重要な機会になったものと受け止めております。

このうち、「平和の発信」に関しましては、サミットの主要テーマと開催地が持つメッセージが一致した過去に例を見ない、まさに歴史的なサミットとなり、特に、各国首脳等が被爆の実相に触れたことは世界に大きなインパクトを与え、世界平和の実現に向けた力強いメッセージになったと実感しております。

また、「広島の魅力の発信」に関しましては、G7首脳等の宮島訪問が実現したほか、ワーキングランチやディナーなどに多彩な県産食材や広島の日本酒、ワイン、また茶菓子などが提供されるとともに、会場の設(しつら)えや記念品などでも多くの県産品や工芸品が活用されました。

これに加え、県民会議におきましては、

・ 広島が持つ多彩な魅力のPR動画の配信や

・ 観光や産業、文化や平和など様々なテーマを設定したプレスツアーの実施

・ 国際メディアセンター内における広島情報センターの設置など

各国の報道関係者を通じた発信にも取り組み、広島の持つ多彩な魅力が、広く世界に発信できたものと受け止めております。

こうした中、サミットを契機とした様々な報道などによって、 世界から広島への注目や関心は一層高まっており、このことは、本県にとって、新たな、そして大きなチャンスであると考えております。

このため、今後は、この追い風を的確に捉え、とりわけ、「核兵器のない平和な世界」の実現に向けて平和の取組を着実に進めていくとともに、国内外からの更なる観光客の獲得、さらには、「選ばれる」県産品の創出など多様な広島ファンの増加に向けて、引き続き、広島の魅力発信に係る取組を積極的に展開してまいります。

まず、平和の取組につきましては、サミットで高まった広島への関心と核兵器廃絶に向けた機運を生かして、NPT運用検討会議第1回準備委員会などの国際会議に積極的に参加し、核兵器と持続可能性の問題への賛同者拡大や核抑止に代わる安全保障政策づくりに向けた議論の進展につなげてまいります。

また、多くの若者が、サミットの開催支援などへの参画を通じて、被爆者の願いや平和の問題を、自分事として捉えたと感じており、こうした若者が、その経験や思いについて発信できる場を提供してまいりたいと考えております。

次に、国内外からの誘客促進につきましては、サミットの開催効果を絶やすことなく、県内全域へと波及させていくため、令和7年の大阪・関西万博なども見据え、

・ 比婆牛や日本酒、ワインなど、サミットで提供された食や工芸品などの生産地を訪れるツアーの開発や

・ サミットで要人が訪れた名所と県内各地の本県ならではの観光資源を組み合わせた海外メディア向けの取材ツアーの実施など、

取組を強化してまいります。

また、「選ばれる」県産品の創出につきましては、県産農林水産物を活用し、磨き上げた料理などを提供する場を積極的に発信していくほか、新たな食の魅力づくりにも継続して取り組み、県内全域におきまして、広島らしさを前面に出した商品開発が進むよう生産者や食品メーカーなどの取組を支援してまいります。

県といたしましては、こうした取組を、機会を逃さず着実に推進し、市町や関係団体等をはじめとした県民会議の構成団体が、今回のサミット開催で得られた知見やノウハウ、構築された結束力を最大限生かし、一体となって進めていくことにより、本県全体の更なる発展につなげてまいります。

 

 

2 物価高騰等への対応について

質問の第2は、物価高騰等への対応について、お伺いいたします。

 

物価高騰対策

長引く物価高騰等による影響が、県内の事業活動や県民の暮らしを直撃しています。

また、自動車、鉄鋼、造船などの重厚長大産業を中心に発展してきた本県では、関連企業を含めて、他県よりもエネルギー価格高騰の影響を強く受けています。

 

国は、本年3月、「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」を増額・強化し、地方の取組を支援するため、1兆2,000億円が措置されました。

本県では、物価高騰対策を切れ目なく実施するため、国の交付金を活用し、今般の補正予算案において、約73億3,900万円の予算を計上されており、速やかな事業執行に努めていただくようお願いします。

 

 

今後の対応

国の物価高騰対策は、当面、9月末までが対象であり、その後は、エネルギー価格等の動向を見極めながら、対応を検討していくとのことであります。

 

しかしながら、ロシアによるウクライナ侵略の終結は、全く見通しが立っておらず、必然的に物価の高止りも長期化することが見込まれます。

言い換えれば、現下の物価高騰は、緊急事態ではなく、5類移行前の新型コロナと一緒で、終息の目途の立たない有事と同じ状況になってきていると言えるのではないでしょうか。

また、物価高騰は、いつまで続くか分からないため、各事業者も事態が好転するのをただ待つのではなく、DXによる業務効率化や、国等の補助金活用による、稼げる事業への転換など、物価高騰を自ら克服する努力をすべき時期が来ているのではないかと思います。

 

本県では、これまで物価高騰や新型コロナの影響を受けた県内事業者を支援するため、市町や関係団体に対するヒアリング、また、事業者へのアンケートなど通じて、実情を把握し、事業者に寄り添った支援策を実施してこられました。

執行部には、国が提示する交付金メニューを単に消化するのではなく、県内の市町や事業者の支援ニーズを的確に汲み取り、現在実行している物価高騰対策に加えて、本県の産業構造も踏まえた独自の経済対策を積極的に推進していただきたいと思います。

 

 

質 問

そこで、お尋ねをいたします。今般の補正予算案において、どのような物価高騰対策を講じ、また、県内市町や事業者のニーズをどのように把握し、本県の施策に反映をされているのか、知事にお伺いいたします。

さらに、物価高騰が長期化する中、本県の持続的な経済成長を実現していくためには、影響を受けている事業者に対する継続した支援策に加え、将来にわたって効果が持続する支援策が必要と考えますが、今後、どのような方針の下、物価高騰対策を講じていこうとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。

 

 

【知事答弁】

本県経済につきましては、宿泊業や観光業などを中心に、個人消費に緩やかな回復の動きがみられていることに加え、自動車などの製造業の生産が回復するなど、足元は持ち直しております。

一方で、長期化しております物価上昇に加え、懸念される世界経済の動向や、ウクライナをはじめとする世界情勢の今後の展開など、リスク要因は多く、不確実性は高い状況にございます。

こうした状況を踏まえ、この度の6月補正予算案につきましては、国の交付金等を活用し、直面する課題への対処として「物価高騰による影響緩和」と、将来にわたって対策の効果を持続させるための方策としてエネルギーコストの節減に向けた「ネット・ゼロカーボン等の取組の後押し」の両面から、引き続き、切れ目のない物価高騰対策を講じることとしております。

対策の検討に当たりましては、県内事業者への定期的なアンケート調査や関係団体へのヒアリングなどにより、支援ニーズを把握するとともに、県内市町との連絡調整会議を開催し、県と市町が一体となって効果的な支援策を講じられるよう、協議を進めてきたところでございます。

その結果を踏まえ、「物価高騰による影響緩和」といたしまして、光熱費や食材費の高騰の影響を受けている社会福祉施設等への支援や、産業構造などにより、地域ごとに物価高騰による影響が異なっている中小企業へのきめ細かな支援を、市町と共同で実施することとしております。

また、特別高圧契約により受電している中小企業等や、LPガスを使用している一般家庭及び中小企業等に対し、料金高騰への支援を新たに実施し、幅広く、事業者や県民の皆様の負担緩和を図ることとしております。

さらに、「ネット・ゼロカーボン等の取組の後押し」といたしまして、持続可能な公共交通の実現に向けた交通事業者へのEVバスの導入支援や、人手不足等の課題を抱える観光関連事業者へのDXの導入支援、中小企業等による生産性向上や持続的な賃上げに向けた取組への支援など、将来を見据え、構造的な課題に取り組む事業者への支援を強化することとしております。

物価高騰の長期化が引き続き見込まれる中、本県経済が、この変化を乗り越える力を付け、持続的な発展を遂げていくためには、企業の収益構造を改善し、賃金を上昇させるといった、中長期的な視点に立った取組を一層推進していく必要がございます。

このため、今後の物価高騰対策につきましても、足元の負担軽減策に加え、将来にわたって効果が持続する支援策にもしっかりと取り組み、ウィズ・アフターコロナにおける経済の発展的回復に向けた足取りを、確かなものにしてまいりたいと考えております。

 

 

3 新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について

質問の第3は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について、お伺いいたします。

 

5類への移行

先月8日、新型コロナの感染症法の位置付けが、5類に引き下げられ、3年以上にわたった新型コロナ対策は、ようやく有事から平時の対応へと大きく転換されることとなりました。

5月8日時点で、県内の陽性者数の累計は、81万4,357人、死者は、1,375人にも及びました。

この間、現場で懸命に治療等に当たられた医療従事者をはじめ、行動制限や休業要請等に多大なる御協力をいただきました県民・事業者の皆様に、改めて感謝を申し上げます。

 

今後の感染症対策

5類への移行で、基本的な対応は個人の判断に委ねられます。これまで以上に各個人が、自らの判断で感染防止や健康管理に注意を払い、対策を講じていくことが大切です。

 

今後、行政の役割としては、変異株の発生リスクなどに備え、患者の発生動向等について、定点把握による監視を継続するとともに、医療提供体制が崩壊しないよう、感染状況に応じた対策を適時・適切に見直していく必要があります。

重症化リスクの高い高齢者層に対するワクチン接種体制の整備や、後遺症に悩む患者に必要な医療を提供していくことも必要です。

昨年12月には、新型コロナで脆弱性が浮き彫りとなった新興感染症への対策を強化することを目的に、感染症法が改正されました。

新型コロナ対策では、一部の医療機関に負担が集中した反省に立ち、今後は、都道府県と事前に協定を締結した医療機関に対し、感染症への対応を義務付ける仕組みが新設されました。

今後、県は、改正感染症法を踏まえ、感染症予防計画を策定するとともに、平時から、新興感染症の対応を行う医療機関と協議の上、協定を締結し、地域における医療提供体制を構築していくことが求められています。

 

コロナ禍からの発展的回復

また、新型コロナの感染拡大は、観光業や飲食業をはじめとする様々な産業に経済的損失を与えました。

この間、雇用調整助成金など国の支援制度に加えて、感染症拡大防止協力支援金や頑張る中小事業者月次支援金などにより、県内事業者の経済活動の継続と雇用維持を支える施策に注力してこられました。

とりわけ長く苦しんだ観光業や飲食業も、インバウンド観光客の回復やG7広島サミットの効果もあり、現在、復活の兆しが見られつつあります。

一方で、観光業や飲食業の人手不足は、かなり深刻です。本年3月の企業短期経済観測調査、いわゆる日銀短観では、宿泊・飲食サービス業界の人手不足を示す指数は、製造業の3倍超にも及んでいます。

パートやアルバイトもコロナ禍の人員整理で、直ぐには雇い入れができないため、結果として、経営者に多くの負担がのしかかっているのが実情です。

5類への移行により、事業活動が活発化する中、本県経済の発展的回復につなげていくためには、生産性の向上や労働力の確保に取り組むなど、成長を頭打ちにしかねない人手不足の対策に本腰を入れる必要があるのではないでしょうか。

 

質 問

今般の補正予算案では、感染拡大防止対策や医療提供体制の確保など、新型コロナ対策として、約91億5,900万円を計上されております。

そこで、新型コロナ対策について、移行前と移行後において、どのような点が変わっているのか、また、今後の新興感染症に備え、新型コロナ対策で得られた教訓を生かし、万全な医療提供体制を構築していく必要がありますが、これまでの感染症対策をどのように検証し、今後の対策につなげていこうとされているのか、知事にお伺いいたします。

さらに、中小・小規模事業者等の人手不足など、喫緊の課題に対して、今後、どのように対応し、また、コロナ禍からの発展的回復をどのように実現していこうとされているのか、併せて、知事にお伺いいたします。

 

【知事答弁】

新型コロナウイルス感染症につきましては、感染症法上の5類感染症に位置付けられ、これまでの法律に基づく行政による様々な要請や関与をしていく仕組みを見直したところでございます。

具体的には、

・ 感染者数の把握については、毎日の全数把握から指定された定点医療機関の報告による週単位での把握に変更、

・ 医療提供体制については、入院・外来医療ともに特定の医療機関から幅広い医療機関による患者の受入れ体制に移行し、

・ 入院調整についても、行政による調整から原則として医療機関同士による調整に移行するとともに、

・ 医療費については、全額公費負担から、入院・外来医療の一部を自己負担とすることなどが挙げられます。

継続して実施する取組といたしましては、

・ 受診や療養に関する相談体制の確保、

・ 後遺症の専門的な医療提供体制の整備、

・ 高齢者等ハイリスク者を中心としたワクチン接種を

引き続き実施しているところでございます。

また、本県といたしましては、過去3年に及ぶ新型コロナ対策の内容とその成果について検証し、その結果を今年度策定する感染症予防計画に反映することとしております。

感染症予防計画におきましては、新興感染症が発生した場合の病床確保や発熱外来の実施などについて、医療機関等と協定を締結するとともに、感染症対策の中心となる保健所の体制強化などを図るために具体的な数値目標を定めることとしています。

こうした取組により、今後新興感染症が発生した場合にも、必要な医療が提供できるよう、平時から体制を確保することにより、県民の皆様が安心して暮らせるよう、地域の医療提供体制の確保に全力で取り組んでまいります。

次に、コロナ禍からの発展的回復につきましては、5類移行に伴い、本県経済は持ち直しつつあるものの、一部の業界では人手不足の状況が生まれているほか、物価高騰等の影響により、引き続き予断を許さない状況であるため、県内中小企業等に対して、人材確保や生産性向上に資する支援を行っていくことが重要であると認識しております。

こうした認識の下、本県におきましては、求人企業と求職者のミスマッチを解消するため、

・ 「働きたい人全力応援ステーション」におけるマッチング支援や、

・ 県の求人情報サイト「ひろしまワークス」による求人情報の発信力強化

など人材確保に向けた様々な支援を行ってきたところでございます。

こうした取組に加え、DXの推進など生産性向上に資する取組のほか、新事業展開、経営基盤強化などの支援にも積極的に取り組んでいるところでございます。

さらに、この度の6月定例会におきましては、

・ エネルギー価格高騰の影響を受ける県内中小企業等の負担軽減策や、

・ 人手不足等の課題を抱える観光関連事業者に対するデジタル技術を活用した取組支援

などに必要な予算を提案しており、喫緊の課題に対し、その効果が皆様に早く行き届くよう、努めてまいりたいと考えております。

今後とも、こうした取組を着実に実施することにより、厳しい経営環境に直面する県内中小企業等の課題解決を図り、コロナ禍からの発展的回復に取り組んでまいります。

 

 

4 人口減少対策について

質問の第4は、人口減少対策に関して、3点お伺いいたします。

 

(1)こども・子育て政策の充実強化について

1点目は、こども・子育て政策の充実強化について、お伺いいたします。

 

少子化の加速

国が今月公表した人口動態調査の結果では、令和4年の出生数は77万747人となり、7年連続の減少で、過去最少の出生数となりました。

合計特殊出生率も1.26と、平成17年に並び、過去最低を記録しています。

婚姻率の低下や晩婚化に加えて、新型コロナによる出産控えも影響し、国の推計より8年も早く80万人を下回っており、我々が想定している以上に、少子化が加速している状況が窺い知れます

 

国の動向

こうした状況を踏まえ、岸田総理は、「我が国は、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれている」と、これまでにない危機感を持ち、2030年までを「少子化傾向を反転させるラストチャンス」と位置付け、社会全体でこども・子育てを支えていくこととしています。

本年4月には、省庁横断組織として「こども家庭庁」を設置し、「こどもまんなか社会」の実現に向けた施策を強力に推し進めています。

今月策定された「こども未来戦略方針」では、「全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する」といった3つの基本理念を掲げており、今後は、児童手当の拡充や出産等の経済的な負担軽減など、具体的な施策の議論を進めていくこととされています。

 

本県の取組

こども・子育て政策は、国が全国一律で実施すべき施策と、地方が地域の実情に応じて、きめ細やかに行う施策とを複合的に組み合わせることで、より効果的なものになります。

本県では、これまで、「ひろしま子供の未来応援プラン」に基づき、妊娠・出産から子育て期までの一貫した見守り体制を構築するための「ひろしま版ネウボラ」や、乳幼児の教育・保育の充実に向けた施策などを重点的に推進してこられました。

一方で、令和5年度当初予算や今般の補正予算案において、こども・子育て政策に関して、目新しい事業展開はないように思います。

 

 

 

質 問

本県の令和4年の出生数は、17,903人と厳しい状況が続いており、実効性のある少子化対策を、早急に講じていくことが必要です。

そこで、現在、国において、岸田総理が最重要課題として位置付ける「次元の異なる少子化対策」が本格的に加速する中、本県では、今後、どのような施策を充実・強化していこうとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。

 

【健康福祉局長答弁】

本県では、県民の皆様の結婚・妊娠・出産・子育ての希望の実現を後押しするため、

・ 若者の出会い・結婚支援をはじめ、

・ 子供を持ちたいと願う夫婦の不妊治療への支援、

・ ひろしま版ネウボラの構築などによる子育ての安心感の醸成、

・ 保育サービスの充実や働き方改革の推進など、働きながら子育てしやすい環境づくり、

・ 若者の経済的自立に向けたきめ細かな就業支援など、

様々な施策を、関係局が一丸となって取り組んできたところでございます。

国におきましては、本年6月に「こども未来戦略方針」を策定し、「全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充」や、「共働き・共育ての推進」などの取組に注力することとしており、基本的には、本県がこれまで全国に先駆けて、独自に取り組んできたひろしま版ネウボラの構築や産後ケアなどの支援の拡充、企業経営者の意識改革や男性の育休取得促進などの働き方改革を、一層加速させていくことが、国のこども政策強化の動きにも合致し、より効果的に進められると考えております。

また、本県では、今年度から、不妊治療に対する支援を大幅に拡充し、先進医療等の活用により、本来保険適用となる治療も含め、全額自己負担となった方を対象に、治療1回当たり30万円を上限とする新たな助成を開始し、子供を持ちたいと願う方の希望が叶うよう取り組んでいるところでございます。

さらに、小学5年生及び中学2年生を対象とする生活実態調査や、高校生等へのアンケート調査を実施し、子供たちを取り巻く環境の現状を把握するとともに、新たな施策の必要性を検討し、次期「ひろしま子供の未来応援プラン」の策定につなげてまいりたいと考えております。

国の「こども未来戦略方針」では、子育てに係る経済的支援の拡充についても打ち出されていることから、引き続き、国の動きを注視し、全国的に展開される施策を機動的に実施するとともに、本県独自の施策を追加的に講じながら、効果的な施策展開を図ってまいります。

 

 

(2)若年層に魅力ある働く場の創出について

2点目は、若年層に魅力ある働く場の創出について、お伺いいたします。

 

本県の転出超過状況

国が本年1月に公表した「住民基本台帳人口移動報告」では、本県の転出超過数は9,207人で、2年連続で全国ワースト1位となりました。

20歳から24歳までの若年層の就職を理由とした転出が、主な原因です。

 

この点につきましては、昨年度の予算特別委員会で、本県では、急速に進展する国内外のグローバル化に対応するため、グローバル教育に重点的に取り組まれており、その成果として、若い方々が県外に積極的に出ているのではないかと申し上げ、県外に出て行く若者をしっかりと支援し、将来、地元広島に戻ってきてもらうことが大事であると、指摘をさせていただきました。

また、既に人口減少社会に突入している以上、毎年の統計数値に一喜一憂する必要はないと思います。

 

一方で、広島県に留まり、戻りやすい環境づくり、例えば、副業や転職、Uターン、関係人口の創出といった施策を推進していくことは必要であり、特に、若年層にとって魅力ある働く場を創出する取組は欠かせません。

 

賃金格差

ユニクロを展開するファーストリテイリングが、この春から国内正社員の年収を最大4割引き上げ、新入社員の初任給を25万5千円から30万円までアップすると発表したニュースは、世間に驚きを与えました。

世界の給与水準に引き上げること、そして、国際競争力と成長力を強化することも狙いにあるようです。

国の令和4年「賃金構造基本統計調査」によると、全国の平均賃金31万1千円に対して、東京都は37万5千円、広島県は29万6千円となっており、大きな開きが生じているのが分かります。

家賃など物価水準に違いはありますが、こうした東京圏と地方との賃金格差も、若年層の転出超過に拍車をかけている要因の一つと言えます。

 

賃上げ対策

日本の大卒の初任給は、この20年間ほぼ横ばい傾向が続いています。

OECDによる国別平均年収によると、日本の順位は25位で、G7の中では最下位となっており、上位国のアイスランドやアメリカの平均年収の約半分しかありません。

日本は、先進国の中でも給与が上がらない国となっています。いくら頑張って働いても年収が上がらないという現実が、若者にとって、結婚、出産といった夢や希望を描き難くしている背景にもなっているのではないでしょうか。

こうした中、国の「こども未来戦略方針」では、「若い世帯の所得を増やすこと」を基本理念の一つに掲げ、「賃上げ」に取り組むこととしています。

新しい資本主義の下、「成長と分配の好循環」の実現、つまり、経済成長による果実が賃金に分配され、セーフティネット等による暮らしの安心の下で、分配が消費へとつながっていくことを目指しています。

 

現在、中小企業は、物価高騰や新型コロナの影響により、厳しい経営状況が続いておりますが、深刻な人手不足に対応するため、給与の引き上げや職場環境の改善などの魅力向上に取り組む動きも見られつつあります。

更なる賃上げを促進していく上では、なにより、得られた利益を積極的に人やモノに投資していくといった、中小企業経営者の意識改革が欠かせません。

人手不足を追い風として、是非、中小企業における生産性向上や賃上げを促進し、地域経済の回復に取り組んでいただくようお願いします。

 

質 問

そこで、お尋ねをいたします。転出超過が続く中、若年層にとって魅力ある働く場の創出が必要であると考えますが、経済成長と人への投資の好循環に向けて、どのように県内企業の取組を後押ししていこうとされているのか、国が進める「賃上げ」の取組を含めて、知事の御所見をお伺いいたします。

 

 

 

【知事答弁】

若者が就職先を選択する重要な要素として、企業の成長性や経営の安定性、給与などの高い処遇が挙げられており、若年層にとって魅力ある働く場を創出するためには、県内企業が生産性向上や高付加価値の創造により競争力を強化し、従業員の人材育成や処遇向上など、人への投資を進めることで、更なる成長につなげる好循環の流れを本県に定着させることが重要でございます。

このため、企業の生産性向上や付加価値の創出を支援する取組といたしましては、

・ 「ひろしまユニコーン10」プロジェクトなどスタートアップ企業の創出と急成長の支援、

・ 環境・エネルギー分野や、健康・医療関連分野など新たな成長産業の育成、

・ DXの推進や、カーボンニュートラルに対応した技術開発、サービス産業の高付加価値化など、環境変化に対応する企業への支援、

・ 新事業展開を図るための経営基盤の強化

などに取り組んでまいります。

また、従業員の人材育成や処遇向上の取組といたしましては、

・ 生産性向上や成長分野への労働移動を促進するリスキリングの推進、

・ サプライチェーン全体での取引価格の適正化を目指すパートナーシップ構築宣言の普及啓発など価格転嫁の促進、

・ 国の業務改善助成金等を活用して持続的な賃上げに取り組む事業者への支援

などに取り組むとともに、人材を資本と捉え、積極的に投資する人的資本経営の導入を促進し、労働市場に向けて効果的に情報開示するなど企業の人材獲得力の強化にもつなげてまいります。

こうした取組により、企業が競争力を強化し、人への投資を促進することで、更なる経済成長への好循環の流れを構築し、県内産業の持続的な発展を通じて、若年者にとって魅力ある働く場を創出してまいりたいと考えております。

 

 

(3)旧市町の地域特性を生かした施策の推進について

3点目は、旧市町の地域特性を生かした施策の推進について、お伺いいたします。

 

市町村合併の変遷と総括

人口減少・少子高齢化により、全国各地の市町村において、地域の担い手不足や地元企業の衰退、地域コミュニティの崩壊といった課題が深刻化しています。

 

振り返りますと、平成11年以降、人口減少・少子高齢化の進展に対応し、地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤を確立するため、合併特例債による財政支援等により、全国で「平成の大合併」が積極的に進められてきました。

本県では、平成18年3月、市町村数が86から23まで減少し、減少率は73.3%と全国第2位になるなど、全国のトップランナーとして、市町村合併を推進してこられました。

合併から概ね10年が経過した平成26年度には、市町村合併の効果などを検証し、「市町村合併の成果と今後の課題について」報告書を取りまとめています。

 

市町村合併による課題

平成26年度に、市町村合併の成果と課題を検証されて以降、更に10年が経とうとしています。

報告書にも記載がありますが、確かにスケールメリットによる「住民サービスの維持・向上」や「行財政運営の効率化と基盤の強化」などの成果があった一方で、現在、都市周辺部の旧市町村の活力は、ますます失われつつあると感じています。

例えば、私の地元である福山市新市町では、旧新市町時代、公契約を受注していた地元密着の物品・印刷業者は、合併後の福山市では競争入札に勝てないため、余儀なく閉店に追い込まれ、空き店舗や空き地が増加しています。

また、昨年4月には、常金中学校と新市中央中学校が閉校し、新たに新市中央中学校として再編をされました。

福山市教育委員会では再編の道を選択されましたけれども、仮に旧新市町のままであったとしたら、果たして今と同じ判断をされたでしょうか。

「タラレバ」ではありますが、旧新市町として残っていれば、現在の状況とは少し違った結果になっていたのかもしれません。

合併のあった町村の住民は、未だに合併前の町や村に所属しているという感覚を持たれています。

難しいことは承知しておりますが、県職員の皆様には、今後の施策を判断する際に、旧市町村単位であればどのような結論を下すのかという視点を、行政として判断する際の視点の一つとして持ち続けていただきたいと考えています。

旧市町村単位の視点を持って判断する場合と、持たずに判断する場合とでは、仮に結論が同じであったとしても、行政の考え方について、県民への伝わり方が違うのではないかと思っています。

 

質 問

県内の各地域が抱える課題は、多種多様であります。

人口減少社会において、それぞれの地域で、県民が安心して快適な暮らしを営んでいくためには、地域の持続可能性を高めていくための取組が欠かせません。

また、多様化、複雑化する地域課題を解決していくためには、市町村合併によって生じている現実や課題を改めて見つめ直し、地域の特性を生かした施策を推進していくことが大切です。

県職員の皆様には、これまで以上に、住民に身近な行政を担う市町と施策の方向性を共有し、協力しながら、きめ細やかな事業展開をお願いしたいと思います。

そこで、お尋ねをいたします。人口減少が想定されていた以上のスピードで急速に進展する中、平成の大合併後に顕在化している地域課題をどのように認識をされているのか、また、地域の持続性を高めていくためには、旧市町など各自治体内での地域特性を生かした施策の推進が必要であると考えますが、今後、持続可能なまちづくりにどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。

 

 

【地域政策局長答弁】

本県では、市町が基礎自治体として、住民に身近な行政サービスを総合的に展開できるよう、全国に先駆けて市町村合併を進め、合併後のまちづくりを支援してまいりました。

その結果、多様な住民ニーズに対応できる総合的な行政サービスを提供する体制が整備され、独自の施策展開が可能となるなど、一定の成果があったものと考えております。

一方、課題といたしましては、

・ 中心となる地域は整備されるが周辺部が取り残される、

・ 行政区域が大きくなり住民の声が届きにくくなった

といった声も聞かれるところでございます。

さらに、近年は、人口減少や少子高齢化の急速な進展など、社会経済情勢が大きく変化する中、本県におきましても、人口構造の変化などにより、地域の担い手不足や、空き家の増加など、地域コミュニティの維持がより厳しい状況になっているものと認識しております。

こうした中で、個性ある、豊かで持続可能なまちづくりの実現に向けましては、各市町において、地域の特色や地域資源を生かし、住民に身近な施策を幅広く盛り込んだ総合戦略に基づき、地域の活性化に関わる様々な施策が進められているものと考えております。

県といたしましても、市町と、こうした方向性を共有し、協力して取り組んでいくことが重要であると認識しており、引き続き、市町の主体性・独自性を尊重しつつ、市町の総合戦略の策定への助言を行うとともに、課題解決に向けた必要な支援を行うなど、市町と連携して、取り組んでまいります。

 

 

5 持続可能な地域公共交通の実現と県の役割について

質問の第5は、持続可能な地域公共交通の実現と県の役割について、お伺いいたします。

 

国の動向など

地域公共交通を巡る国や地方自治体の議論が、大きく加速しています。

本年4月に地域公共交通活性化再生法が改正され、報道によれば、10月からは、国が関与し、公共交通について議論する「再構築協議会」を柱とする新たな制度がスタートします。

新制度では、ローカル線の輸送密度が4千人未満の区間は、再構築協議会の対象となりうるとされており、特に、輸送密度が千人未満の区間は、優先度が高いとされています。

JR西日本は、令和元年度の輸送密度が48人であった芸備線の備後庄原から備中神代までの区間について、再構築協議会の要請も選択肢の一つであると発言されています。

再構築協議会は、国が中立的な立場で、JRと沿線自治体等の協議の場を設けるものであり、国は、鉄道を廃止し、バスへの転換などを意図するものではないとしています。

しかしながら、不採算路線として廃線となった三江線問題の記憶も新しく、国から再構築協議会設置の提案があったとしても、地域にとって大切な路線が維持されるよう、関係自治体としっかりとタッグを組んで、実りある議論を進めていただくようお願いします。

 

地域公共交通が抱える課題

その一方で、人口減少の進展に伴う公共交通利用者の減少や運転士の不足、また、新型コロナの影響などにより、民間事業者による経営努力だけでは、地域公共交通が成り立たない状況に陥っています。

昨年度、総務委員会の県外視察で滋賀県に伺った際、近江鉄道線に上下分離方式を導入した経緯や考え方、また、地域公共交通を持続的に支えていくための交通税創設に向けた検討状況などを調査いたしましたが、このような取組についても、交通事業者が地域で果たすべき役割を踏まえた上で、更なる研究が必要です。

 

地域公共交通ビジョン

本県では、今年度、県全域を対象とした地域公共交通政策のマスタープランとなる「地域公共交通ビジョン」を策定される予定です。

先月5月末に示された骨子では、目指す姿として「県民の暮らしと、地域・経済の共創を支え、ひろしまの価値を高める社会基盤としての地域公共交通の実現」が掲げられています。

「地域・経済の共創」という理念には、「交通×まちづくり」、「交通×ビジネス」、「交通×医療」など、分野の垣根を越えて、地域公共交通をデザインしていくという思いを込めている、とのことです。

この分野の垣根を越えた、まちづくりの観点は非常に大切であり、引き続き、交通事業者や関係市町の皆様と議論を進めていただくようお願いします。

 

質 問

今後、地域公共交通ビジョンの素案作成に向けて、より具体的で実効性のある施策を盛り込んでいくことが必要です。

私は、これまでも「鉄道ネットワークを生かしたまちづくり」について、繰り返し定例会等で質問を行ってまいりましたが、ローカル線という地域や交通弱者にとって大切な資産を守っていくためには、交通だけはなく、まちづくりの観点を取り入れて、施策を推進していくことが最も大切であると考えています。

加えて、芸備線や、呉市と大崎上島町を結ぶフェリー航路の維持など、各地域における個別課題にも県がリーダーシップを発揮しながら、取り組んでいく必要があります。

そこで、持続可能な地域公共交通の実現に向けて、交通事業者や関係市町と今後、どのように取組を進めていくのか、個別課題に対して県が果たすべき役割を含めて、知事にお伺いいたします。

 

 

以上で質問を終わります。

ご清聴いただき、ありがとうございました。

 

 

 

【地域政策局長答弁】

本県の公共交通を取り巻く状況は、人口減少による需要の縮小や、交通事業者の収支悪化、運転士不足をはじめとする供給面の課題など、より一層深刻さを増しているものと認識しております。

こうした課題に対応し、持続可能な公共交通を構築していくためには、交通事業者、市町、利用者といった関係者が中長期的な視点を持ちながら公共交通の目指す姿を共有し、一体的に取り組む必要があることから、昨年度、「広島県地域公共交通ビジョン」の策定に着手し、骨子の取りまとめを行ったところでございます。

この骨子におきましては、公共交通を、県民の皆様の日常生活の移動を守るのみではなく、公共交通以外の分野と連携しイノベーションを生み出すことで、ひろしまの価値が高まり、公共交通の利便性・持続性も高まっていくという考え方の下、「県民の暮らしと、地域・経済の共創を支え、ひろしまの価値を高める社会基盤としての地域公共交通の実現」を県全体の目指す姿といたしました。

また、県民の移動の実態に合わせて分類した6つの地域類型ごとの目指す姿や、施策の方向性などの取りまとめを行ったところでございます。

今年度は、目指す姿の実現に向けて、新たに、県内3つの圏域に分科会を設置し、市町や交通事業者に各圏域の移動の実態に関するデータをお示ししながら、エリアにおける課題を共有し、

・ 拠点間を結ぶ交通ネットワークの充実や、

・ 暮らしを支える生活交通の確保など、

より具体的な取組について、検討を重ねながら、地域の実情に応じたビジョンの策定を進めてまいります。

また、今後、各市町の公共交通計画に、このビジョンの目指す姿の考え方やその実現に向けた施策が盛り込まれるよう促すとともに、個別課題につきましても、こうした観点から、事案ごとに、市町と共に解決に向けて連携して対応することで、地域公共交通の持続可能性を高めてまいります。

 

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