令和8年6月定例会
一 般 質 問
《6月25日(木)3番手》
1 ひろしまビジョンの改定について
(1)ひろしまビジョンの指標・目標について【知事】
(2)経済成長に関する指標について【知事】
(3)アクションプランの策定時期について
(4)社会減対策について【知事】
2 団塊ジュニアを中心とする周辺世代の活躍について
(1)60歳を超えた校長の処遇について
(2)重点的な取組の必要性について【知事】
自由民主党広島県議会議員連盟
出 原 昌 直
はじめに
皆さん、こんにちは。
自由民主党広島県議会議員連盟、福山市選出の出原昌直でございます。
今次定例会、最後の質問者となります。
質問の機会を与えていただいた中本議長、山下副議長をはじめ、先輩、同僚議員の皆様に、心から感謝を申し上げます。
本日、私からは「ひろしまビジョン」に関することをはじめ、県政運営に関わる事項について質問をさせていただきますが、内容によっては、やや厳しい指摘や意見と受け取られる内容もあるかもしれません。
これは、横田知事が目指しておられる「多くの方々がこの広島で暮らしたいと思い、多くの人々を惹きつける魅力あふれる広島県」の実現に向けて、知事と問題意識を共有しながら、より良い方向へ議論を深めるためとの思いからです。
ぜひ、私の思いをご理解いただいたうえで、早速ですが、質問に移りたいと思いますので、知事をはじめ、執行部におかれましては、簡潔かつ明瞭な答弁をお願いし、質問に入ります。
(397字:28分47秒)
1 ひろしまビジョンの改定について
(1)ひろしまビジョンの指標・目標について
質問の第1は、「ひろしまビジョンの改定」について、4点お伺いします。
1点目は、「ひろしまビジョンの指標・目標」についてです。
2010年に、湯崎県政になって初めての総合計画となる「ひろしま未来チャレンジビジョン」が策定され、「将来にわたって『広島に生まれ、育ち、住み、働いて良かった』と心から思える広島県の実現」を基本理念に掲げ、県民とともに目指す姿の実現に向けて、「人づくり」「新たな経済成長」「安心な暮らしづくり」「豊かな地域づくり」の4つの政策分野を柱として県政が推進されてきました。
このビジョンでは、4つの政策分野ごとに目指す姿が整理されており、県民にとっても、「広島県がどのような将来像を目指しているのか」が比較的分かりやすい構成となっていたように感じます。
県民、県内市町、企業など多様な主体が同じ方向を向いて取り組むという総合計画本来の役割を果たしていたのではないかと考えています。
一方、2020年に策定された「安心・誇り・挑戦 ひろしまビジョン」では、「県民一人一人が安心の土台と誇りにより、夢や希望に挑戦しています」という目指す姿のもと、子供・子育て、教育、健康、防災・減災、産業イノベーション、観光など17の施策領域を設定し、多岐にわたる成果指標やKPIを設けて施策を推進する手法へと大きく転換されました。
これは、施策の進捗を客観的に管理するという意味では評価できるものの、県民の立場から見ると、施策や指標が細分化され過ぎた結果、広島県が最終的にどのような姿を目指しているのかが見えにくくなったのではないかと感じています。
今回の改定案では、県民に分かりやすく伝わりやすい「シン・ファミリーフレンドリー“家族で暮らしやすいまちは、誰もが暮らしやすい”」を今後5年間の方向性として掲げられています。さらに、人口減少の抑制と持続的な地域社会・経済成長の実現に向け、特に注力する重点項目として、「若者に選ばれる広島県」、「女性に選ばれる広島県」、「子育てしやすい広島県」、「強固な社会経済基盤の確立」、「広島の財産と経験の継承」の5つが示されています。
若者や女性の転出超過、出生数(しゅっしょうすう)の減少など、本県が直面している人口減少問題を踏まえれば、このような重点化を図ること自体は理解でき、一定の評価をするところであります。
しかしながら、県民の立場から見ると、これら5つの重点項目が、広島県全体の発展や将来像とどのようにつながるのか、また、従来から掲げている17の施策領域との関係性が必ずしも明確ではないように感じます。
加えて、今回の改定では指標や目標についても見直しが行われており、例えば、「大学等進学時における転出超過数」は5年で削除、「クルーズ客船観光客による推計消費額」は新たに追加、「安心して妊娠・出産・子育てができると思う者の割合」は、令和12年度の目標値が91%から84%へと下方修正されているように見受けられます。このような見直しの結果、前回ビジョンから変更・追加された指標は42、変更のなかった指標は20となっており、新たなビジョンの指標総数は62となっております。
総合計画とは、本来、県だけで完結する行政内部のマネジメントツールであるだけでなく、県民や県内市町と将来像を共有し、ともに同じ方向に向かって進んでいくための羅針盤でなければなりません。
その意味では、誰が見ても理解できる分かりやすさと、県政全体の方向性がひと目で伝わる構成が重要であり、市町が掲げる目標や地域課題との整合性についても十分に考慮する必要があると考えます。
さらに、社会経済情勢の変化に応じて指標を見直す必要があることは理解しますが、10年後の目指す姿を実現するために設定した指標や目標を途中で変更することは、県政運営の信頼性や継続性という観点から慎重であるべきではないかと考えます。
そこで、お尋ねをいたします。県政運営の最上位計画であるビジョンの改定に当たり、目標や指標の設定は、各部局の判断で単に追加や変更・削除を行うのではなく、全体の基本的な考え方があって行うべきものであると考えますが、今回のビジョン改定において、指標や目標の追加・削除や目標値の修正などをどのような基本的な考え方のもとで行われたのか、また、新たなビジョンを修正した内容を含めて県民に分かるように伝えていく必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。
(1,821字:23分13秒)
【知事答弁(経営企画T)】
ビジョンに掲げる施策領域の指標につきましては、その領域の目指す姿の状態を定量的または定性的にわかりやすく表すために設定しているものであり、その指標の目標値は、概ね30年後のあるべき姿から逆算して、5年後に到達すべき水準として設定しているものでございます。
今回のビジョンの改定に当たっては、現行のビジョン策定から5年が経過する中で、飛躍的に革新・普及が進むデジタル技術やAI、国際情勢の緊迫化や円安の進行などによる物価高騰、自然災害の激甚化・頻発化の顕在化、そして、想定を上回るスピードで人口減少が進んでいることなど、社会経済情勢が大きく変化しており、この変化に、柔軟かつ適切に対応していくため、これまでの施策の成果と課題も踏まえながら、見直しのプロセスを進めてきたところでございます。
この度の改定における指標や目標値の見直しにつきましては、社会経済情勢の変化とこれまでの取組の進捗等を踏まえ、
・ 捉え方を変えて性質の異なる指標・目標値に変えたもの、
・ 新たな考え方の導入により指標を新設したもの
などがあり、例えば、令和6年度能登半島地震で避難所の生活環境の課題が顕在化したことから、その改善を図るため、国際的な人道支援の最低基準である「スフィア基準等を踏まえた避難所開設・運営訓練の実施市町数」を新しく設定するなどの見直しを行っているところでございます。
こうした指標等につきましては、「広島県総合計画審議会」において、有識者の方々からもご意見をいただきながら、検討し、設定してきたものでございます。
また、将来にわたって、「広島に生まれ、育ち、住み、働いて良かった」と心から思える広島県は、県庁だけではなく、県民の皆様、市町、経済界など全ての方々の取組により実現できるものであることから、議員御指摘のとおり、今回ビジョンが改定された後は、改定の趣旨や修正した部分を含め、その内容を、県民の皆様にしっかりと伝えていく必要があります。
県のホームページや県民だよりへの掲載、SNSでの情報発信のほか、地域における意見交換や講演の場などにおいて、わかりやすくお示しをし、県民の皆様の共感を得ながら取組を進めてまいります。
(2)経済成長に関する指標について
2点目は、「経済成長に関する指標」についてです。
私はこれまで、県民が県政の成果や施策の方向性を分かりやすく把握するためには、県民所得や県内総生産といった経済全体を示す指標を、ビジョンの成果指標として掲げるべきであると、本会議や委員会において繰り返し申し上げてきました。
しかしながら、私が令和6年6月定例会で経済的指標について質問した際、執行部からは、「県民所得や県内総生産は県の施策以外の外部環境に大きく影響されるものであり、県の施策の寄与度を測定することが困難であるため、目標値としては設定していない」との答弁がありました。
確かに、県内総生産や県民所得は、国際情勢や為替、物価、金利、エネルギー価格など様々な要因の影響を受けます。
しかし、それは新たなビジョンの成果指標として掲げている「観光消費額」や「農業産出額」についても同様ではないでしょうか。
例えば「観光消費額」は、円安や世界経済、感染症の流行などの影響を大きく受け、「農業産出額」についても、気象条件や資材価格、国際市場の動向に左右されます。
そのため、「外部環境の影響を受けるから目標にしない」という説明だけでは、なぜ県内総生産や県民所得だけが成果指標として位置付けられないのか、腑に落ちません。
また、これまでのビジョンを見ると、「ひろしま未来チャレンジビジョン」の改定版では、2012年度の本県の1人当たり県民所得は約300万円と全国8位であったところ、「ひろしまビジョン」では、2017年度の1人当たり県民所得は約317万円と全国14位となっており、本県の相対的な順位は低下しています。
さらに、新たなビジョンでは、2022年度の1人当たり県民所得について約328万円という数値は掲載されているものの、これまで示されていた全国順位や全国との比較が見当たりません。
加えて、本年3月に公表された令和5年度広島県県民経済計算結果によると、本県の名目県内総生産は12兆6,081億円と、ここ10年で最大となったものの、物価変動の影響を除いた実質成長率はマイナス2.0%と国全体の実質成長率プラス0.7%と比較すると、大変残念な状況となっています。
私は、こうした本県経済が停滞している数字を見ると、ビジョンに経済成長そのものを測る指標が掲げられていないことが直接の原因とまでは申しませんが、少なくとも本県経済の現状を県民が共有し、目指すべき方向を明確にできていないという課題があるのではないかと感じています。
そのため、新たなビジョンにおいては、良い数字だけでなく、課題や全国との比較も含めて県民に率直に示し、その上で県内総生産や県民所得を成果指標として掲げ、目指すべき方向性を共有することが重要ではないでしょうか。
魅力的な働き場所があり収入が多ければ、自然と人が集まり「若者に選ばれる広島県」、「女性に選ばれる広島県」を実現できると考えるため、県内総生産や県民所得などの経済状況を図る数値は今まで以上に重要であると考えています。
そこで、お尋ねをいたします。「若者に選ばれる広島県」「女性に選ばれる広島県」を進めるうえで、経済成長目標の指標の重要性についてどのように認識しているのか、知事のご所見をお伺いします。また、新たなビジョンでは、経済成長について県民や事業者に分かりやすく示し、施策の効果をより適切に測ることができる指標として、どのような考え方のもと、どのような指標を設定したのか、お伺いします。
(1,427字:18分50秒)
【知事答弁(経営企画T)】
本県が、人を惹きつける魅力ある地域となり、「若者に選ばれる広島県」、「女性に選ばれる広島県」となるためには、まずは、人々の生活の基盤である働く場所が確保され、その総体である県経済が成長していくことが最も重要であると認識しております。
このため、ひろしまビジョンの改定案におきましては、本県の目指す姿に近づいているかを確認していくために重要な「県内総生産」や「一人当たり県民所得」の推移を提示し、これらを「注視する指標」に設定しているところでございます。
また、県の施策等の効果が測定でき、PDCAを回していくことができるよう、施策領域ごとに「ビジョン指標」を設定することとしており、経済成長に関するビジョン指標としては、例えば、
・「産業イノベーション」における「県の取組による付加価値創出額」、
・「農林水産業」における「農業産出額」や「海面漁業生産額」、
・「観光」における「観光消費額」
など、施策の効果を確認できるものを設定しているところでございます。
本県経済の動向を的確に把握し、関連施策を着実に実施することなどにより、強固な社会経済基盤を確立し、若者や女性に選ばれる広島県の実現を
目指してまいります。
(3)アクションプランの策定時期について
3点目は、「アクションプランの策定時期」についてです。
これまで申し上げてきたように、ビジョンに掲げる目標や指標は、それを実現する具体的な施策や事業があって初めて意味を持つものであります。
前回のひろしまビジョンは2020年10月に策定され、その実行計画であるアクションプランは同年12月に策定されました。わずか2か月後には、具体的な取組内容やKPIが示され、県民や事業者、市町なども今後の方向性を共有することができました。
一方で、現在示されているスケジュールでは、新たなビジョンは、本来であれば本年3月に策定される予定であったものが、知事の交代などを理由として6月議会での策定となっています。
そして、アクションプランの策定は本年10月とされており、ビジョン策定から約4か月後となっています。結果として、アクションプランの策定が前回よりも時間を要し、ほぼ1年を棒に振ることになります。このスピード感はいかがなものかと感じています。
私自身、アクションプランの策定スケジュールは議会にも示され決定しており、そのスケジュールに従って策定されることについては異論はありません。ただ、ビジョン策定が既に当初予定より遅れている以上、策定後のビジョンに示された取組を少しでも早く進めるためにも、このたびは、アクションプランをビジョンと同時期に策定するべきではなかったでしょうか。
アクションプランは、ビジョンの実効性を確保するため,ビジョンに掲げる17の施策領域の課題や取組の方向を踏まえ、目指す姿に至るまでのギャップを埋めるための手法を戦略化し,着実に推進していくための実行計画と位置付けられています。
そのため、ビジョンに掲げる目指す姿は、それを実行するアクションプランが示されて初めて、県民や事業者、市町にとって実際の取組として受け止められるものであり、「何を目指すのか」と併せて、「その実現に向けて何を行うのか」を早期に示し、関係者と方向性を共有しながら、速やかに取組を進める必要があったのではないかと考えます。
そこで、お尋ねをいたします。目指すべき姿の実現に向けた取組を早期に進めるためにも、ビジョンとアクションプランの策定は一体的かつ同時期に進めるべきであったと考えますが、この2つの関係性をどのように考えているのか、知事の御所見をお伺いします。
(968字:15分52秒)
【経営戦略審議官(経営企画T)】
ひろしまビジョンは、本県の最上位計画に位置付けられ、目指す姿や取組の方向といった本県行政の全体方針や構想をお示しするものであり、県議会をはじめ、県民の皆様と一緒に、新たな広島県づくりを進めていくための、いわば「羅針盤」になるものと考えております。
アクションプランは、議員御指摘のとおり、ビジョンの実効性を確保するため、ビジョンに掲げる17の施策領域の課題や取組の方向を踏まえ、目指す姿に至るまでのギャップを埋めるための手法を戦略化し、着実に推進していくための実行計画であり、具体的な取組内容や、KPIを設定するものでございます。
こうしたことから、アクションプランは、ビジョンの内容が確定してから、ビジョンに掲げる領域ごとの目指す姿や取組の方向に基づいて策定するものであり、まずは、ビジョンの改定を行った上で、アクションプランの策定を進めることとしております。
今後、改定後のビジョンや次期アクションプランについて、県民の皆様の御理解や共感を得ながら、ビジョンの目指す姿の実現に向けて取り組んでまいります。
(4)社会減対策について
4点目は、「社会減対策」について、お伺いいたします。
本県の人口減少問題には、大きく自然減と社会減があります。
私は、自然減への対応は、国の施策に負う部分が多いと考えており、県としては、主体的な取組により成果を出すことのできる社会減対策に重点を置くべきであると考えています。
そのためには、若者や女性がなぜ広島県から転出するのか、また、なぜ広島県を選ばないのかを正確に把握し、効果的な対策につなげていくことが重要です。
本県では、これまでも社会減に関する分析が行われており、要因として「大学等卒業後の就職を主な要因とした若者の転出超過が続く」ことや、「大都市圏への転出傾向は男性よりも女性に強くみられる」こと、「東京都と大阪府への転出超過数は男女とも20歳代が突出し、女性がやや男性を上回る」こと、「東京圏・大阪圏への女性の県外転出志向は、男性に比べて強い」ことが挙げられています。
この要因は、「若者減少・人手不足対策プロジェクト・チーム」により分析され、2024年10月に公表された「若年層の社会減少要因調査分析及び人手不足のヒアリングの結果」ではありません。実は、2015年に改定された「ひろしま未来チャレンジビジョン」に記載されている内容であり、その時点で既に若者や女性の転出超過が本県の大きな課題であることが整理されていました。
そして、その課題に対応するため、既に10年前から「新卒大学生のUIJターン就職の促進や若年者の就職等の促進」「女性が多様な場面、特に働く場において活躍できる環境整備」「若者の出会いや結婚に関する意識・関心が高まり、妊娠・出産に希望を持つことができる環境づくり」など、様々な取組が進められてきました。
しかしながら、住民基本台帳人口移動報告によると、日本人の国内移動に着目した社会減を見ると、2014年の転出超過数は約2,600人であったものが、2024年には7,000人を超える水準となり、むしろ増加しています。
この結果を見ると、今までの取組をもう一度検証して、新たな施策へ転換していかないと、これまでと同じ結果を繰り返すことになりかねません。
重要なのは、2024年度に実施した調査によって、10年前には見えていなかった新たな要因や変化がどこにあるのかを明確にし、それに対応した新たな施策へ転換していくことではないでしょうか。そうしなければ、新しいビジョンに掲げる「若者に選ばれる広島県」「女性に選ばれる広島県」「子育てしやすい広島県」に繋がらないと考えます。
そこで、お尋ねをいたします。本県では、社会・経済に深刻な影響を与える恐れのある想定を超えるスピードで進行する人口減少への対応を重点的に進めていることから、人口に関する指標を成果指標として掲げる必要があると考えますが、知事のご所見をお伺いします。また、2024年に行われた分析結果と2015年時点で整理していた内容を比較した場合、結果に大きな違いがないように思いますが、県としてどのような違いがあると認識しているのか、知事にお伺いします。さらに、この10年間に様々な取組を進めてきたにもかかわらず、社会減が増加してきた現状を踏まえると、これまでの取組の延長ではない抜本的な取組の転換が必要であると考えますが、知事のご所見をお伺いします。
(1,360字:11分41秒)
【知事答弁(経営企画T)】
ひろしまビジョンの改定案におきましては、本県の目指す姿に近づいているかを確認していくために重要な「県内の総人口」を注視する指標に設定するとともに、人口減少の抑制に向けて、2030年の希望出生率の実現と社会動態の均衡を目指すこととしております。
本県における社会減の要因分析につきましては、2015年の「ひろしま未来チャレンジビジョン」の改定に際して、同年に、「若者の社会動態に関する意識調査」を行い、また、社会動態の要因を把握し、社会減対策の再構築を図るため、2024年に、「若年層の社会減少要因調査分析」を実施いたしました。
2015年の調査は、意識調査をまとめたものであり、県内大学生が就職で県外を希望する理由として、「住んでみたい地域がある」、「就職したい企業が県内にない」、といった回答が多いことを把握いたしました。
2024年の調査は、転出理由を深掘りし、要因分析と課題抽出に重点をおいたものであり、分析の結果、
・魅力的で多様な働く場が不足していること、
・若者目線のまちづくりや地域の魅力に触れる機会が不足していること、
・自分が望む働き方ができる企業の存在や魅力が届いていないこと、
などを明らかにいたしました。
この10年間、社会減対策として、
・企業の投資・誘致の促進、
・県内就職・UIJターン就職の促進、
・東京圏等からの移住の促進
など、転入・転出の両面から取り組んでまいりましたが、社会動態の均衡には至っておらず、社会減が継続しております。
この背景には、日本全体の産業や社会構造があると考えておりますが、この課題に向き合い、対応していくため、これまでの取組に加え、「人を惹きつける」視点を意識し、新たに、音楽やアートといった文化芸術や、祭りやスポーツといった楽しみの充実とその発信などの取組を進めるとともに、様々な形で広島と接点を持つ人を増やし、関係人口の拡大に向けて取り組むこととしております。
さらに、継続している東京一極集中は、超過密による生活環境の悪化だけでなく、日本経済を支える地方の製造業や国民への食料供給を担う農林水産業などの持続的な成長を阻害し、日本全体の均衡ある発展や経済成長に大きな影響を及ぼす恐れがあるものです。
そのため、本県の施策については、成果を検証しつつ、新たな取組も強力に進めながら、他県とも連携し、国に対して、東京一極集中の是正に向けた取組の強化を引き続き働きかけてまいります。
2 団塊ジュニアを中心とする周辺世代の活躍について
質問の第2は、「団塊ジュニアを中心とする周辺世代の活躍」について、私の意見を述べた後に、2点お伺いいたします。
知事も私たちと同じ、40代後半から50代後半の、いわゆる団塊ジュニアを中心とする周辺世代に属しておられると思います。これから私が申し上げることに、少しでも心当たりがあれば、ぜひ頷きながら聞いてください。
新たなビジョンや近年の各種施策を見ますと、「若者」「女性」「高齢者」といった言葉を頻繁に耳にします。もちろん、それぞれ重要な施策であり、私もその必要性を否定するものではありません。
しかし、その一方で、現在40代後半から50代後半を中心とする世代について語られる機会は、決して多くないように感じています。
私たちの世代は、社会人になっておよそ30年になります。その歩みを振り返ると、「失われた30年」と呼ばれる時代と重なり、長期にわたる経済停滞の中で、給料がなかなか上がらないことが当たり前であり、むしろ最近になって初めて物価上昇や賃金上昇を経験しているという状況です。
若い頃には、飲料水のCMの「24時間戦えますか」というキャッチフレーズが一世を風靡し、長時間労働が美徳とされる空気さえありました。残業しても申請しないことが当たり前、有給休暇を取得しなさいと一度も言われたこともなく、育児休暇の取得を誰も考えたことがありませんでした。
加えて、パワハラ、アルハラもありましたが、当時は若手社員に対する「厳しい指導」「社会勉強」として、先輩たちが鍛えてくれているという考えの中で肯定的に受け入れていました。
さらに、子育てにおいても、現在のような幼児教育・保育の無償化や高校授業料の実質無償化、給食費支援、子ども医療費助成の充実などは十分ではありませんでした。
給料が伸びない中でも、このような価値観の中で働き、家庭を支え、子どもを育て、地域を支えながら懸命に生きてきたのが私たちの世代であります。このような処遇であったにもかかわらず、私たちは何も言わなかったように思います。
そして今、その世代が企業や行政、地域社会の管理職や中核人材となり、自分たちの若い頃とはまったく違う対応を部下にすることが求められています。
現在の管理職は、部下には有給休暇の取得を勧め、育児休暇の取得を後押しし、働き方改革を進めていますが、頭では理解できていても、何か矛盾を感じながら時代に合わせた行動をとっているように思います。
この世代は、日本の経済停滞期を最前線で支え、現在は管理職として組織や社会を支えています。
普段なかなか声を上げることの少ない、この団塊ジュニアを中心とする周辺世代を代表する思いで、質問をさせていただきます。
(1,105字:8分18秒)
(1)60歳を超えた校長の処遇について
まず1点目は、「60歳を超えた校長の処遇」についてです。
先ほど申し上げた団塊ジュニアを中心とする周辺世代の活躍という観点から、教育現場に目を向けますと、近年、60歳を超えて校長として勤務されている先生方が増えているように感じます。
実際に、広島(ひろしま)市立(しりつ)学校を除く県内公立学校の状況を見ると、10年前の2017年度には、60歳を超えた校長は、小学校では322人中11人で約3%、中学校では167人中3人で約2%、高等学校では82人中6人で約7%と、いずれも1割に満たない状況でした。
ところが、今年度は、小学校では286人中53人で約19%、中学校では151人中41人で約27%、高等学校では80人中23人で約29%となっており、高等学校では実に4人に1人が、小学校でも5人に1人近くが60歳を超えた校長となっています。
私は、このような状況を見ると、長年にわたり教育現場を支えてこられた先生方が、60歳を超えてもなお学校運営の最前線に立ち、後進の育成や学校経営を担っていただいていることに対し、心から敬意を表したいと思います。
一方で、その処遇について考えると、大きな疑問を感じます。
現在、60歳を超えた校長の給与は、職員の給与に関する条例により、適用される給料表の職務の級及び号級に応じた額の7割水準などに減額されています。
これは、国家公務員の給与制度に準じたものと理解していますが、県の人事委員会勧告などがあれば改善できると考えています。校長という職責は60歳を境に軽くなるわけではなく、学校経営の最高責任者として、教職員のマネジメント、保護者対応、地域との連携、児童生徒の安全確保、不祥事対応など、その責任は60歳を超える前と何ら変わりません。
加えて、今の校長が若いころには、教員が休暇などを取得する場合、職員同士がフォローするなど学校全体で対応していましたが、今は職員に気を遣い、校長が代わりに業務の負担をカバーすることもあります。
民間企業であれば、給与が大きく下がる場合には役割や責任も見直されることが一般的です。逆に、同じ役職と責任を担うのであれば、それに見合った給与が支払われます。
しかし、校長の場合は、責任はそのまま、給与だけが大きく減額される仕組みとなっており、厳しい処遇ではないかと感じています。
今後、さらに教員不足や管理職候補者の不足が進む中で、豊富な経験を持つベテラン人材の力を活かしていくことは極めて重要であり、責任ある立場を担い続ける人材に対して、職責に見合った処遇の確保は、今後の学校運営を考える上でも必要ではないでしょうか。
私たち世代が60代を迎えるときに、また私たちの世代だけが冷遇を受けていると思わせるようなことはあってはなりません。
そこで、お尋ねをいたします。なぜ、近年、60歳を超えた校長が大幅に増加しているのか、教育長にお伺いします。また、60歳を超えた高等学校長をはじめとする校長については、職責に応じた給与が支払われるべきであると考えますが、教育長の御所見をお伺いします。
(1,252字:4分28秒)
【教育長(教育委員会)】
少子高齢化に伴う労働力人口の減少が続く中において、高年齢層職員の能力及び経験を生かし、質の高い行政サービスを維持できるよう、校長の再任用制度を導入し、令和5年度からは、定年の段階的な引上げを行っているところでございます。
60歳を超えた職員の給与につきましては、国家公務員の給与が、民間企業における高齢期雇用の実情を考慮し、当分の間、60歳前の7割の水準に設定されていることから、地方公務員法の均衡の原則に従い、本県でも、条例において、60歳前の7割の水準に設定しているところでございます。
こうした中で、校長が60歳を超えて引き続き勤務する場合は、役職定年として、原則教諭等に降任することとなりますが、勤務条件の情報を提供し、本人の希望を確認の上で、一部の校長については、引き続き校長として特例任用しているところでございます。
近年は、60歳を超える校長の任用が増加している状況ですが、その背景といたしましては、児童生徒の急増期に大量採用した教員が退職する時期を迎え、より多くの教員の確保が必要となっており、これまでの経験と能力を生かして教育環境の維持を図る必要性が増していることによるものと認識しております。
また、60歳を超えた職員の給与の在り方につきましては、国においては、60歳以降も引き続き同一の職務を担うのであれば、給与水準が維持されることが望ましいとの考えの下、定年の段階的な引上げが完成するまでに、所要の措置を順次講ずるものとされていることから、国における検討状況を注視してまいりたいと考えております。
(2)重点的な取組の必要性について
2点目は、「団塊ジュニアを中心とする周辺世代に対する重点的な取組の必要性」についてです。
現在、国においては、高市政権のもと、官民連携による戦略的投資を促進し、更なる経済成長の実現を目指すため、日本成長戦略会議が開催され、17の戦略分野における成長投資や危機管理投資とともに、8つの分野横断的課題への対応について議論が進められています。
分野横断的課題への対応の一つに「労働市場改革」があります。
労働市場改革分科会のとりまとめでは、「我が国の経済は、生産年齢人口が減少傾向にあるなど労働力供給制約下にあり、働く一人一人を大切にしながら、労働供給力強化を図り、経済成長を実現していくことが必要である」とされています。
また、2040年に向けて、生産年齢人口の急減により、労働力供給制約はさらに厳しさを増していくことが見込まれており、その対応として、女性や高齢者をはじめとした多様な人材の労働参加を促進し、労働市場全体の労働供給力を強化していく必要があると指摘されています。
私は、この国の見解は大変重要であると考えています。
広島県において、今後の社会減対策や労働力の確保を考える際、若者や女性への施策に力を入れることはもちろん重要ですが、国から示された通り、40代後半から50代後半の団塊ジュニアを中心とする周辺世代を取り込んでいく必要があると考えます。
この世代は、人口ボリュームが大きく、県内外や海外での多くの経験や、高度な専門知識や技術、人脈などを有しています。
さらに、進学や就職を機に県外へ転出し、東京圏や関西圏、さらには海外で生活している方々も数多く存在していますが、子育てが一段落し、自身のライフスタイルの見直しを考えている方や、親の介護をきっかけにふるさとに帰りたいと考えている方も多くいるのではないでしょうか。
広島に魅力を感じている方や、一度広島を離れ県外で経験や知識を蓄積した方が、広島と関わりを持ち、地域社会や産業の担い手として活躍していただくことは、本県の発展にとって極めて大きな力になると考えおり、加えて、若い世代は投資して育てる必要がありますが、この世代は即戦力になります。横田知事もその一人であると私は思います。
そこで、新たなひろしまビジョンに掲げられている「若者に選ばれる広島県」、「女性に選ばれる広島県」、「子育てしやすい広島県」などの重点項目に加え、団塊ジュニアを中心とする周辺世代を広島へ迎えるUIJターンに力を入れ活躍してもらうための施策を、ぜひ検討して頂きたいと思います。
先ほども述べましたが、本県では、これまで10年以上にわたり、若者や女性に選ばれる広島県づくりに取り組んできました。
私は、次の段階として、「団塊ジュニアを中心とする周辺世代に選ばれる広島県づくり」という視点を持つことが、社会減対策として劇的な変化のある新たな一手になるのではないかと考えています。
そこで、お尋ねをいたします。2040年に向けて生産年齢人口の減少が進み、労働力供給制約がさらに厳しさを増していくことが見込まれる中、このような懸念に備え、円滑に労働力を供給できるよう計画的に準備しておく必要があると考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。また、団塊ジュニアを中心とする周辺世代のUIJターンを促進し、地域や産業を支える担い手として活躍してもらうために、今後、どのような取組を進めていくのか、知事にお伺いします。
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【知事答弁(経営企画T)】
生産年齢人口の減少などにより、人手不足の深刻化が懸念される中でも、本県の持続的な経済成長や、県民の皆様の安心・安全な暮らしの確保を図ることが重要であり、将来に向けた人手不足対策として、
・業界における生産性を高める取組の支援、
・建設業担い手3法の改正などを契機に業界の構造改革に取り組む団体・企業の後押し、
・外国人材の円滑な受入れ、定着の促進など労働供給を高める取組の推進、
の3つの柱で取り組んでいるところでございます。
このうち、特に、「労働供給を高める取組の推進」といたしましては、業界横断的な支援として、
・女性や高齢者、外国人など誰もが働きやすい職場環境づくり、
・将来、社会・地域に必要な人材を企業と連携して育成する「広島ならではのキャリア教育」、
などのほか、業界個別の支援といたしまして、
・トラック運送事業者や建設事業者などの、これまで女性が少なかった業種における、女性が働きやすい環境の整備、
・介護の仕事に興味を持つ若い世代を対象とした職場体験などの将来の担い手の確保、
・企業経営を目指す新規就農者の育成に向けた新たな研修制度の構築
などの取組を進めております。
加えて、これまで培ってきた経験やスキルを有する団塊ジュニア世代を含むUIJターンを促進していくことは、労働供給を高めるだけでなく企業の成長や地域の担い手の確保を図る観点からも有効であると考えております。
現在、東京に開設の広島県の移住相談窓口における相談者の4割が40代から50代であり、更にそのうち約7割の方々が、移住の決め手として「仕事」を挙げていることから、これらの方々に対し、人材紹介会社と連携したイベント開催など、仕事や地域とのマッチングに取り組んでいるところでございます。?
また、大都市圏の高度な専門人材の経験やスキルを県内企業の成長に生かしていくために、引き続き、広島県プロフェッショナル人材戦略拠点が中心となって、マッチングを促進しております。
さらに、農業分野におきましては、UIJターンした中高年層には、積極的に地域農業に関与し、親の世代から次の若い世代へ、農地や農業技術を継承する橋渡し役を期待しており、持続的な農業が実現できるよう、担い手と連携した機械の共同利用や、共同作業の仕組みの構築に向けて支援してまいります。?
こうした労働供給を高める様々な取組により、団塊ジュニアを中心とする周辺世代を含めた多様な人材に活躍していただくことで、各業界の人手不足の改善や地域の担い手の確保に取り組んでまいります。
おわりに
以上で質問を終わります。
ご静聴いただき、ありがとうございました。
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