- 令和6年2月定例会
- 予算特別委員会
- 答 弁 実 録
1 本県の移住施策について
(1)Iターン移住に向けた取組について 知事
(2)移住施策の差別化について 知事
- 2 経営資源配分の考え方について 知事
- 3 瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会について 知事
- 4 繊維産業を始めとした県内産業の振興について
(1)広島県における繊維産業の重要性について
(2)技能実習生の受入企業への支援について
(3)技能実習生の転籍制限緩和への対応について
(4)ものづくり産業を支えていく認識について - 5 観光振興について
(1)今後の観光振興の進め方について
(2)観光施策の推進体制について -
自由民主党広島県議会議員連盟
出 原 昌 直1 本県の移住施策について
(1) Iターン移住に向けた取組について
自民議連の出原でございます。
早速質問に入ります。
まず、本県の移住施策についてお伺いをいたします。
1月30日、総務省が住民基本台帳人口移動報告を公表いたしました。
この報告によりますと、本県の国内移動の転出超過数は、3年連続の都道府県別最多の転出超過であり、若い世代が転出超過の大きな要素となっている傾向は継続しています。
こうした状況に対して、報道において、全国ワーストといった表現が多用され、若者の提出の多さをどうしてもネガティブに受けとめる議論が目立ちますが、私はこの状況を前向きにとらえています。
私は前回の予算特別委員会において、「広島県で若年層が提出しているこの傾向は本県がかねてから取り組んでいるグローバル教育の取組の成果であり、前向きにとらえるべきではないでしょうか。大変極論にはなりますが、若者の転出超過、が日本一多い県を目指すと同時に、Uターンによる40代50代の転入超過が日本一多い県を目指すべき」といった内容を述べました。
この考えは変わっていません。
若者の転出超過は広島県でこれまで進めてこられた「学びの変革」が子供たちの主体性や資質能力を向上させた成果であり、知事には是非胸を張っていただきたいと思います。
私は5年先、そして10年先に、広島県の教育によって、地元に愛着を持った多くの若者が、様々な地で様々な挑戦をし、いつかそれを広島県に持ち帰ってくれると考えており、行政としてそうした方々が帰って来やすい土壌をつくることが大変重要と考えています。
そのために今、県として何に取り組むべきか、私はIターン移住に向けた取組が重要ではないかと考えています。
これまで民間企業の立場から、移住に関する取組を行う中で、4年間で約2000人の方と面談をする機会をました。
面談から分かってきたこととして、40代、50代の方には、子育てに区切りがつき、最後に意欲的に働ける場所を求めている方が多く、そうした方は広島県に縁がなくても、広島県への移住意欲を持っているということであります。
最後の10年、15年を新しい職場でもう1回自分の今までの経験を生かして働きたいという方々に、転職先、移住先として広島県を選んでもらうために今必要なものは何か、しっかりと見極め、40代50代の年齢層のIターン事業に対する、受け皿をしっかりと作ることが重要であり、その受け皿が将来、県出身の若者が、地元に帰ってくる土壌をつくるものに繋がると考えています。
そこで40代50代のIターン移住の重要性について認識及び、今後の対応について知事にお伺いをいたします。 - <知事答弁>
本県の移住促進の取組や東京圏を中心に人生のステップアップに挑戦しようとする比較的若い世代を主な対象として取り組んでいるところでございます。
一方、東京に開設している広島県の移住相談窓口におきましては相談者のうち40代から50代が約4割、このうち本県以外の出身者が約7割と、多くの40代50代の県外出身者に、本県を新たな人生のスタートの地として興味を持っていただいていることから、こうした方々に向けた取組も重要であると認識しております。
また、この本県以外の出身者のうち8割が、受注に当たっての課題を仕事と回答しており、移住の実現のためには、培った経験やスキルを生かせる仕事とのマッチングや、創業に当たっての人や地域の紹介が不可欠であると考えております。
このため、移住を希望する方に対しましては、県内の企業や仕事の情報について、より多くの情報が届けられるよう、ホームページやSNSによる情報提供を充実させるとともに、人材紹介会社と連携したイベントなどにより、仕事とのマッチングに取り組んでまいります。
特に、東京圏等の高度人材に対しましては、これまで培ってきた経験やスキルを生かし、県内企業の成長につなげるために、引き続き、広島県プロフェッショナル人材戦略拠点が中心となって、マッチングを促進してまいります。
また、創業を目指している方に対しましては、経済団体や市町等と連携して、相談に応じているところであり、起業支援金などを活用しながら、移住先での幅広い事業等の起業を促進してまいります。
引き続き、仕事と暮らしの情報発信や移住希望者と地域や企業を引き合わせるマッチングなどにより、40代50代のIターン移住についても進めてまいります。 -
40代50代のニーズ認識というのはあるということでありました。
プロフェッショナル人材の受入というのをしていただいておりますけれども、これにも要件がありまして、大体年間の年収が600万円程度というのがありますけども、私自身、色々な40代50代の方と面談をする中で、その方々っていうのは、年収規模400万500万でも広島県に移住して自分の力を発揮したいという方々がいらっしゃいますので、是非その辺の緩和もお願いできたらと思っています。
また、昨年は40代50代のUターンの取組に関してお伝えしましたけども、先ほどお伝えをしたとおり、40代50代のIターンの取組の必要性を伝えている、その意味は、広島県に縁のない方々がわざわざ広島県を選んでもらえる土壌を作ることで、大変難しいハードルの高いことだと思いますけど、そういった土壌ができれば、自然に転出超過も抑えられる転出も抑えられていくのではないかと思っています。
また、来年度、約3000万円で、若年層の社会減少要因分析をされていますけども、昨日坪川委員の質問に対しての転出の要因をしっかりと調べるということでありましたけど、私自身はやはり、転出超過の要因に重きを置いた調査ではなく、是非転入がなぜ減少しているのかという調査に重きを置いていただきたいと思います。
それは10年間のこの国内移動を調べますと、転出に関しては約4万8000人で、ほぼ変動がないという状況で、しかしながら、転入者に関しましては平成26年が4万5000人に対し、令和5年は4万500人、約5000人減少しており、この転入が少ないというのが大きな問題だと思っています。
また、広島県では県内15市町と共同して移住支援制度の実施もされています。
その要件ですけども、東京23区内へ在住又は通勤をしていること、就職先が広島ワークスに掲載している求人であること、なかなかこれ条件が狭いというふうにも思っています。
是非県独自で条件を充実拡充していただいて、40代50代に絞った差別化された施策を進めていただくことを要望して次の質問に入ります。 -
(2)移住施策の差別化について
移住施策の差別化についてであります。
今回の総務省報告によりますと、転入超過は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、滋賀県、福岡県の7都道府県であり、多くの自治体が転出超過となっている中、私にはどの自治体も同じような移住施策をとっている印象を受けています。
そうした中、鳥取県で面白い取組が実施されているので1つ紹介をさせていただきます。
鳥取県では2019年から鳥取副業兼業プロジェクトという取組を実施されています。
都市部大企業等で活躍するビジネス人材等に副社長になってもらい、副業兼業という形で、主にリモートで概ね1週間程度アドバイスを行ってもらい、鳥取県内の中小企業の経営課題の解決を図るといったものです。
特徴としては、鳥取県で週1副社長と銘打って、民間人材会社のサイトに通年で鳥取県企業の特集ページを設置し、副業兼業求人を無料で掲載し、成約した場合のマッチングフィーや成功報酬等の費用は一切発生しないといった取組です。
実績として、これまでの4年間で県内企業355社に延べ597名の副業兼業人材をマッチングしております。
このように鳥取県においても、居住人口を増やすことの難しさを理解し、いきなり居住人口を増やそうとするのではなく、まず、鳥取県と縁を持った関係人口を増やしながら、地域活性化を図る方向に特化した取組が実施をされています。
多くの自治体が転出超過となる中、他の自治体と似通った移住施策を実施しても十分な施策効果が期待できないと思っています。
鳥取県のように地域の実情などを踏まえ、メリハリの利いた戦略により、他の自治体と差別化を図っていくことが重要ではないかと思っています。
そこで本県が現在取り組んでいる移住施策について、どういった点に本県の独自性があるのか、また今後どのように差別化を図っていくのか知事に御所見をお伺いいたします。 - <知事答弁>
本県の移住施策の推進の特色といたしましては、移住希望者の希望を把握し、きめ細かく丁寧に対応することで非常に結びつけているということがあろうかと思います。
東京圏からの移住を促進するため44都道府県が移住相談窓口を据え設置しております「ふるさと回帰支援センター」に、ほとんどの都道府県がNPO法人の委託による相談員を設置している中、本県におきましては、開設当初から派遣職員を専任で常駐させることで、県の各部局や市町等と緊密に連携し、きめ細かな相談対応を行っております。
また、コロナ禍以降は相談内容の傾向を把握し、移住希望者のニーズに即して、他県に先駆けてオンラインによる移住セミナーを頻度高く開催したことなどにより、相談窓口開設以降、631世帯が本県に移住したことを把握しております。
さらに、先ほどから出ておりますプロフェッショナル人材マッチング支援事業においても、経営者との面談を通じて人材ニーズを詳細に把握することなどにより、移住者を含めて1300人以上がこれまで県内費用に採用されております。
同様の取組が地域金融機関にも広がっておりまして、このプロフェッショナル人材しマッチング支援事業を契機として、今後県外からの高度人材の獲得が加速していくものと考えております。
加えまして、デジタル系企業を中心とした企業誘致におきましても、経営者や従業員とともに、その家族も企業人材、転入助成の対象とすることで、より多くの移住につなげているところでございます。
このように、きめ細かく対応しながら、様々な取組を進めているものの、転出超過に歯止めがかからないことから、来年度におきましては、若年層の社会減少要因調査分析事業の分析結果を踏まえて、既存事業の磨き上げと再構築を進めることで、他県との差別化をさらに図り、広島が移住者に選ばれる地域となるよう取り組んでまいります。 -
是非、調査結果を基に、他県とは違う差別化を図った取組をしていただきたいと思っています。
県と備後地域4市2町で構成されています「備後地域振興協議会」において今年度、「人口流出対策プロジェクトチーム」というものを設置しました。
これは転出超過が広島県東部の地域に少し偏りが見られるということで、その議論の中でもありましたけども、各市町が県域を越えた差別化をした取組が必要ではないかという話が出てきています。
例えば、尾道であれば観光を切り口にした移住、福山であればものづくりを活用した雇用創出など、独自性の高い移住施策が必要になってくると思っています。
また、来年度予算で「大学生等県内就職促進事業」という事業が上がっています。
繰り返しになりますけども、転入促進・転出抑制、双方の取組でありますけども、予算には大きな差があります。
転入には約1100万円、転出抑制には2800万と、3倍の予算に差がありますので、是非、繰り返しですけども、転入をどうしていくかということに力を入れていただきたいと思っています。
また、新規の取組として、東京圏からのUIJターンの就職の促進を目的とされている予算案が上がっていますけども、就職活動に係る交通費の支援というのがありますけども、交通費が課題なのかなという疑問も残ります。
一昨日、参考人の大阪大学の吉川教授からの説明でもありましたけども、広島県というのは教育県広島ということで、進学率全国で6位ということで、こういった流れというのは抜本的な解決というのは少し難しいのではないかという説明もありました。
その中で提言として、マクロの数に一喜一憂せず、人口の比量的側面にきめ細かく目配りが必要という提言がありました。
まさにその通りだと思っています。
数字にこだわらず独自性のある取組を広島県として、行っていただきたいと思います。 -
2 経営資源配分の考え方について
次に、経営資源配分の考え方についてお伺いをいたします。
これまで広島県では選択集中の考え方の下、限られた経営資源を、重点施策の推進のために集中的に投資されてこられました。
このたび公開された「令和6年度施策及び事業案の概要」におきましても、施策や事業等のプライオリティーや費用対効果の検証、評価を踏まえた事業の休廃止などにより、経営資源を確保した上で、ビジョンに掲げる目指す姿の実現に向けた重点施策の推進等に集中投下と記載されており、選択された重点施策としては国の補正予算を活用した、令和5年度補正予算も含め、それぞれの役割が、ライフスタイルの実現に、873億円、物価高騰への対応に145億円、人材不足への対応に103億円の投資を行うこととされています。
また、選択されなかった内容としては、例えば、健康福祉局の医療機器の情報提供事業は「国への働きかけを行った結果、国による全国統一システムの導入が実現し、下から事業を廃止」、また、商工労働局の広島サンドボックス推進事業については、「Campsが実施するアクセラレーションとターゲットが重複している。これまでの取組で蓄積したノウハウを生かしCampsのアクセラレーションと統合。」といった形で、主な見直し対象事業や見直し内容などが示されています。
一方、岡山県の来年度当初予算案の記者発表を見ましたけども、少子化対策の重点事業に充てる費用を9割増額することとされていました。
伊原木知事は「できることは何でもしようと。少子化対策について圧倒的な熱量で検討、検討した」と話をされておりました。
こうした岡山県の発表の仕方大変非常に分かりやすく、県民の皆様に対して県がこれからどういった施策に集中的に取り組もうとしているのかといった考え方が伝わりやすいのではないかと考えています。
そこで、今回の予算編成にあたり選択と集中の考え方のもと、どういった施策を選択し集中していくこととしたのか、またどういった施策を選択しなかったのか、県民の皆様に分かりやすく、大枠の考え方について知事の御所見をお伺いいたします。 - <知事答弁>
令和6年度は、デフレから脱却して賃金と物価が好循環を描き、イノベーションが活発化する経済に移行する転換点となるものと認識しております。
こうした中、当初予算編成に当たりましては、広島発で賃金と物価の好循環を起こし、経済の正のスパイラルを実現するため、物価高騰や人口減少、人手不足等の喫緊の諸課題への対応のほか、県内事業者等の生産性の向上に向け、DXの推進、人への投資の促進、スタートアップ企業等の活性化に向けた支援、またG7広島サミット追いかけて追い風にしたブランド力の向上、食の魅力や価値を伝える取組、或いは本県でしかやれない高い価値を提供できる観光プロダクトの開発といったこと、また、本県医療の未来の中核をなす高度医療・人材育成拠点である新病院の整備といった、県民の皆様の安心を確保するための社会的基盤の強化に重点的に取り組むこととしたところであります。
このため、全ての施策や事業につきまして、必要性や費用対効果、見直しによる県民の影響の大きさといった様々な観点から優先順位付けを行って、優先順位の低いものを休廃止することで、一般財源ベースで約9.5億円を捻出し、重点施策へ振り向けたところであり、こうした取組を通じて施策や事業の選択と集中を図っております。
今後とも、中期財政運営方針に基づき、経営資源の最適配分に向けた不断の取組を進めることにより、成果獲得の確度がより高い施策への集中的な資源配分を図ることで、ビジョンに掲げる目指す姿の実現につなげてまいりたいと考えております。 -
優先順位の低いものを休廃止していったということであります。
限られた政策的経費の執行に当たっては、行政として、もちろん公平性というのは求められると思いますけども、公平性に重きを置きすぎるとやはり一つ一つの予算規模というのが小さくなって、成果も小さいのではないかというふうに思っています。
一時的な不公平感がある取組でも、その一つを成功させて、それを全体に広げるといったことも必要ではないかと思います。
引き続き、思い切った選択と集中を行っていただきたいと思います。 -
3 瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会について
次に、瀬戸内しまなみ海道国際サイクリング大会についてお伺いをいたします。
瀬戸内の島々をつなぐ個性豊かな9本の橋を含む構想を舞台に、日本最大規模のサイクリング大会今年で開始から10周年を迎えます。
今年は3500人の参加を見込む中規模大会を開催することで、先日、関係機関と合意し、実施計画がまとめられました。
このサイクリング大会において私は、広域的な観光振興、ブランド化の推進、交流人口の拡大、地域経済の活性化を図るものであり、取組自体大変素晴らしいと思っています。
東部選出の議員としても是非継続をしていただきたいと思っております。
しかしながら見直す点もあるのではないかと思っています。
それは費用負担と事業の在り方です。
大会運営に係る費用負担については、愛媛県では市町と1対1の負担割合となっているのに対し、広島県では市町と3対1の費用負担です。
また協賛金についても、前回大会で広島県が集めた金額は約800万円と聞いています。
愛媛県の2割にも満たない状況です。
こうした状況を見ると、この大会が広島県にとっての負担が大きいのではないかと思っています。
また、今回の予算案では大会負担金を含め、1億2000万円を超える事業費となっていますが、過去の費用負担の実績を見ますと、大規模大会は中規模大会の2倍近くのコストがかかっており、この傾向が仮に続いた場合、次の2026年の大規模大会では約2億円を超える費用負担になることが予想されます。
そろそろ費用負担のあり方について見直す時期が来ていると思います。
また、このサイクリング大会は開始して10年が経過をします。
徐々に民間主導により自主的で独立した形へシフトしていくということも選択肢の一つではないかと思っています。
そこで、今後のサイクリング大会の費用負担及び事業のあり方について知事の御所見をお伺いいたします。 - <知事答弁>
国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ」は日本で初めて高速道路の本線を利用した国内最大規模の大会であり、サイクリストの聖地としてのしまなみ海道の魅力を国内外に大きく発信する機会となって、交流人口の拡大や地域の活性化は言うまでもなく、瀬戸内ブランドの推進に大きく寄与しているものと考えております。
一方で、この大会は、高速道路本線の通行止めを伴うため、行政主体での開催が条件となっておりまして、安全対策や代替交通の確保等におきましても大きな事業費の負担が生じているところであります。
このため、これまで、大会参加料の引き上げを始め、完走証のなどの電子化やプロモーション費の削減など、効率的な大会運営に努めてまいりました。
また、来年度の大会におきましては、大会協賛金について、尾道市や経済団体等と連携し、地元企業を始めとした自転車や観光等の関連事業者、さらに県人会を通じて、県外企業など、例年以上の数の県内外の企業等に対してご協力をお願いしているところでございまして、より多くの協賛金を終えて、本県の費用負担が軽減できるよう、取り組んでいるところでございます。
2026年以降の大会のあり方や費用負担につきましては、まずは、来年度の大会における参加者からのアンケート結果や、経済効果など、費用対効果の検証などをしっかりと行った上で、愛媛県や尾道市など関係団体と協議を行ってまいりたいと考えております。 -
御答弁いただきましたが、是非協賛金、広島県としても努力をしていただきたいと思います。
また、観光振興やブランド推進、交流人口の拡大という当初の目的というのは役割をもう終えたのではないかというふうにも感じています。
2017年にしまなみ海道はCNN世界7大サイクリングコースに選ばれてから、海外の方日本の方が大変多く活用をされています。
こういった部分に関しましても民間主導に少しずつシフトしていくような形での検討もしていただきたいと思っています。 - 4 繊維産業を始めとした県内産業の振興について
(1)広島県における繊維産業の重要性について
次に、繊維産業を始めとした県内産業の振興についてお伺いをいたします。
私は、繊維の産地の福山で生まれ育ったことからこの産業に対しては、大変な思い入れがあります。
繊維産業例に挙げながら質問をさせていただきますけども、その他の県内企業にも通じる内容と考えております。
繊維業につきましては、バブル崩壊後、事業所数、従業者数について、現在も減少傾向が続いています。
そうした国全体の状況の中、広島県においては東部地域を中心に、古くから、縫製業年資料織物業など繊維産業が盛んで全国有数の産地を形成しています。
特に、福山市は江戸時代後期日本三大絣の一つ、備後絣が生まれ、厚手生地の織布技術や藍染などの染色技術の発達を背景にデニムの産地として発展をしてまいりました。
この地域は絣を製造していた時代の名残を受けて、分業体制が根づいています。
こうした地域は全国的にも大変珍しく、福山は繊維のまちと呼ばれトップブランドのデザイナーが来訪する理由の一つにもなっています。
さらに、この地域はデニムだけではなく、ワーキングウェア、カジュアルウェア、ジーンズ、スポーツ、婦人服、子供服まで幅広くアパレルメーカーが集積しています。
世界に誇る繊維産業の集積地となっています。
そこで、広島県における繊維産業の重要性について、どう認識をされているのか、商工労働局長の御所見をお伺いいたします。 - <商工労働局長答弁>
本県における繊維産業は、県内に約300社の関連会社が立地し、約7000人の雇用を生み出していることから、地域経済にとって重要な産業であると認識しております。
近年は、国内市場の縮小や担い手不足など、厳しい環境下にございますが、こうした環境変化に適応し、そのすぐれた技術力やデザイン力を生かして、競争力を高め、国内外から高い評価を入れているオンリーワンナンバーワン企業も多数ございます。
昨年のG7広島サミットにおきましては、各国代表団やプレス関係者に記念品として配布されたバッグに福山デニムが使用されるなど、改めて国内外からの注目を集めたところでございます。
また、広島ブランドショップTAUにおける繊維産業のPRイベントの開催や、福山市内の縫製工場等を工程に入れた見学ツアー実施など、様々な取組によって、観光資源としてのデニムを中心とした繊維産業の魅力や認知が高まってきております。
このように、本県の繊維産業は、地域経済の発展や雇用の創出に加えまして、地域の魅力や知名度の向上にも大きく貢献していると認識しております。 -
東部地域の繊維がなかなか認知されていないというのは、実は世界のトップブランドとの契約に守秘義務契約があってそれぞれの企業はなかなか外に向けて発信ができないということがあります。
先ほども説明しましたけども、東南アジアだったり中国だったりすると大きな工場ですべてを一貫で生産するということですけども、この福山の地域の素晴らしさというのは地域一体となって一括生産を行うということですので、まちづくりにも繋がると思いますので、是非引き続き、産業振興、また、産業観光の側面でも、応援をしていただきたいと思っています。 -
(2)技能実習生の受入企業への支援について
次に、技能実習生の受入企業の支援についてお伺いをいたします。
日本人の労働人口が国全体で減少していく中で、繊維産地は、多くの技能実習生に支えられる形で何とか人材を確保してきましたが、いくつかの課題があると考えています。
一つ目は受入企業の負担です。
実際に繊維業界の方に話を聞いてみますと、従業員の規模が20人30人の縫製工場においては、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、中国といった複数国からの技能実習生を受け入れています。
そういった中で、やはり各実習生が体調の悪さ、歯が痛い、お腹が痛いといった、体調の不良に対応するのがほぼ毎日という大変な状況だというふうに聞いています。
日本人の従業員であればそういったことはありませんけど、やはり海外の方になるとそういった負担が経営者の方にあります。
各自治体において外国人の受入環境の整備というのは進められていますけども、受入企業に対する支援が十分ではないというふうに感じています。
来年度の当初予算を見ましても、外国人個人に対する取組として、いろいろとメニューがありますけども、企業に対する支援というのはあまりありません。
受入企業はこうした状況のままでありますと、この円安という事業拡大のチャンスが到来しても、そういったことを検討する余裕などがなく、せっかくのチャンスを逃してしまうのではないかと思っています。
そこで、技能実習生の受入企業に対し、これまでどういった支援を行ってきたのか、また、今後どういった支援を行うのか、商工労働局長にお伺いをいたします。 - <商工労働局長答弁>
これまで機能実習生などの外国人材を受け入れる企業に対しまして、アンケート等で把握した課題や要望等に基づき、受入手続や、職場でのコミュニケーションなど、外国人材を雇用する際の課題の解決策のほか、国の制度改正などの最新情報、セミナーや出前講座により提供してまいりました。
また、受入企業、受入の各段階におけるポイントを紹介するガイドブックの作成配布、企業がすぐに実践できるノウハウを収集整理した動画の制作公開のほか、新型コロナの水際対策により、入国後の待機費用の負担軽減を求める企業等の声をいち早く収集して、補助制度を創設するなど、時機を逃さず支援してきたところでございます。
一方で、受入企業の課題は幅広く、いまだ支援が十分ではない面もあることから、今後とも国や監理団体等と連携し、産業分野ごとの課題を的確にとらえて、対策を検討するとともに、解決に取り組む企業の事例を情報発信することにより、技能実習生の受入・就労に対する支援を行ってまいります。 -
昨日の質問でも林委員から、外国人材の確保の必要性、坪川委員から、外国人材の環境整備、窓口の整備の必要性という質問もありました。
来年度の予算を見ますと、外国人材の受入企業に対する支援に対しては、予算370万円と、昨年と同額であります。
先ほどお伝えしたとおり、やはり企業の方々、経営者の方々が、この円安という局面のチャンスをどうやってとらえるかという意味では、やはり受入企業に対する支援の充実ということが必要であると思いますので、引き続き、受入企業に対する支援、御検討をいただきたいと思います。(3)技能実習生の転籍制限緩和への対応について
自民議連の出原でございます。
午前中に引き続き質問させていただきます。
午前中には、広島県における繊維産業の重要性、そして課題の1つとして、技能実習生の受入企業への支援について要望させていただきました。
2つ目の課題について質問させていただきます。
技能実習生の転籍制限緩和への対応でございます。
政府は2月9日の関係閣僚会議で外国人技能実習制度に変わり、新たに育成就労制度を創設する方針を決定されたところであります。
その内容は、現在は原則認めていない転籍の要件を緩和し本人の意向により、転籍を制限する期間を分野、業種ごとに就労1年から2年の間で設定できるようにするということであります。
私自身、本人の意向により転籍制限を緩和するという見直し内容については、外国人の方の人権を尊重する視点からも適当であると考えています。
しかしながら、転職制限のない、在留資格「特定技能」の外国人労働者が高い賃金水準を求めて大都市圏へ移動するといったケースも確認をされており、今後技能実習制度が見直され転籍制限が緩和された、「育成就労制度」に切り替わった場合に、外国人労働者の県外提出がさらに加速するといったことも懸念しています。
そこで、技能実習制度の見直しについて、どのように受け止め、今後、転籍制限が緩和された場合、どのように外国人労働者を確保していくのか、商工労働局長にお伺いをいたします。 - <商工労働局長答弁>
技能実習制度の見直し案における転籍制限の緩和につきましては、現行制度の課題を踏まえ、外国人の人権尊重に資するものとなっている一方で、1年から2年で他社への転籍が可能となることから、外国人労働者の職場への定着がますます重要になると考えております。
このため、今後、職場定着に向けまして、社内での日本語能力の向上や処遇改善、宿舎における生活環境の改善など、先進的に取り組む企業の好事例をセミナー等で情報発信することで、外国人労働者が定着しやすい職場づくりを支援することとしております。
こうした取組により、外国人労働者が意欲を持って働き、一層活躍できる就労環境の整備を図ることにより、外国人材の確保を支援してまいります。 -
御答弁いただきましたとおり、是非、職場定着に向けた取組充実をしていただきたいと思います。
先月末に開催をされた自民党経済産業部会におきまして、繊維業を含む11業種の特定技能への追加が了承されました。
こうした特定機能の追加特に関しましては、産業の発展に資するものと期待をしております。
しかしながら、県内にそうした人材を確保できなければ、県内の繊維産業を守っていくこともできません。
繊維業にかかわらず、自動車関連産業など、本県経済を牽引する基幹産業を守る視点から、貴重な外国人労働者の県内確保に向けて、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 -
(4)ものづくり産業を支えていく認識について
次にものづくり産業を支えていく認識についてお伺いをいたします。
世界の動きに目を向けますと繊維業界における環境配慮の動きは加速をしています。
昨年12月5日、EU理事会等欧州議会は、衛生製品仕様における、持続可能性要件の枠組みを設定するエコデザイン規制の案に関して暫定的な政治合意に達したと発表をいたしました。
この規制案は、大型家電などを対象に主にエネルギー効率の観点から、製品仕様の基本要件を設定する現行のエコデザイン指令を改正し、対象製品やエコデザイン要件を大幅に拡大するものでありますが、今回の合意では、未使用繊維製品の配意機禁止も決定され、これにより大企業による消費者製品全般を対象にした未使用製品の廃棄量とその理由の開示義務に加えて、同規則案の施行、2年後からは繊維製品を対象に、未使用製品の廃棄が禁止をされることになりました。
地球規模でサステナビリティの推進に向けた議論が行われる中、製造過程でのCO2排出量の多さ、製品の過剰供給といった繊維産業抱える課題に対応していく動きは、今後一層加速していくものと思われます。
こうした状況において、日本が世界に誇る繊維の産地である広島県として先頭に立ち、繊維業界の今後のあるべき姿をどのように考えていくか、考えていかなければいけないと思います。
広島県においてはDXや生産性の向上に精力的に取り組んでおられますがものづくりを支える予算がなかなかに使っていません。
機械に代替されにくく、人でしかできないクリエイティブな能力が必要とされる仕事は、今後AI技術が発展したとしても残っていく可能性が高いと言われており、そうした視点から繊維産業を含め、今まで広島県を支えてきたものづくりを、今後どうやって支えていくのかという視点は重要ではないかと思いますが、商工労働局長の認識をお伺いいたします。 - <商工労働局長答弁>
繊維産業を含む、製造業が発展していくためには、顧客ごとのオーダーメードや納入品のメンテナンスに対応できる。
熟練した技能労働者の高度な技能を次世代へ円滑に継承していくことが極めて重要であると認識しております。
このため、県におきましては、高付加価値化にも繋がる高度な技能の継承のために、機能水準の評価と機能種技能の習得意欲の増進のための技能検定の実施、県が認定した中小企業事業主等団体が行う認定職業訓練への支援、ひろしまマイスターによる工業高校や中小企業への技術指導、また、ものづくりの魅力発信や技能を尊重する社会的機運を醸成するため、「技能フェア」の開催などに取り組んでいるところでございます。
引き続き、本県の製造業が持続的に発展していくためには、こうした技能継承の取組を進めていく必要がある一方で、テクノロジーの進化によって自動化で代替できるものにつきましては、その活用を図っていくことも必要であると考えております。
現在、技術短期大学校におきましては、デジタル技術を活用した機械部品の設計加工や、AI、IoTに対応した生産ラインの設計、製作、保守などの訓練を行っているところでございまして、今後、こうした訓練などの強化につきましても検討してまいります。 -
ものづくりというのは一旦途絶えるとなかなか復活ができないと思っております。
今日本中で伝統産業の継承発信をするような動きというのがありますけども、伝統産業になる前にこれ産業を支えていかないといけないということだと思います。
行政として、そして県として守るべきものをどう守るか。
是非このものづくりの産業を守っていただくようお願いをいたします。 - 5 観光振興について
(1)今後の観光振興の進め方について
次に、観光の振興の進め方についてお伺いいたします。
1月9日アメリカのニューヨークタイムズで2020年に行くべき52か所が発表されました。
3番目に日本から唯一山口市が選ばれました。
その理由としましては、「過度な観光客に悩まされることが少ない。コンパクトな都市」というのが一つの理由だったというふうに思います。
この記事を見まして、私は、この観光というものが次のステージに入ってきたのではないかと思っています。
集中する観光客によるオーバーツーリズム世界各地で深刻化をしています。
そうした中、世界的な意識の変化を踏まえつつ、選択と集中の考え方に基づいて、観光振興を進めることが重要と考えています。
そこで、持続可能な観光の実現に向けて、観光に対する世界の見方が変化する中、今後どのような観光政策を進めていくのか、商工労働局長にお伺いをいたします。 - <商工労働局長答弁>
広島観光利権推進基本計画におきましては、観光を取り巻く環境変化や、外国人観光客における持続可能な観光への関心の高まりなどを踏まえた施策を進めることとしております。
こうしたことから、原爆ドームや宮島だけではなく、観光客が適度に訪れ楽しんでもらえる観光プロダクトを県内全域に数多く取り揃える、ロングテールな観光プロダクト開発や、インバウンド需要を踏まえた豊かな自然やありのままの文化、伝統などをじっくり楽しむ、持続可能な観光プロダクトの開発、またそれらをつなぐ周遊ルートの設定などに重点的に取り組んでいるところでございます。
引き続き、G7サミットで関心の高まった本県の観光資源を生かしながら、観光客の新たなニーズや意識の変化等を踏まえた取組を進めていくことで、持続可能な観光の実現につなげてまいりたいと考えております。 -
(2)観光施策の推進体制について
1点要望させていただきます。
観光施策の推進体制についてですけども、海外の方からこれ日本が選ばれるというのは、やはり伝統とか文化があるということだと思っています。
観光連盟と観光課が一体となって運営されておられますけども、文化振興課と観光課が連携することの必要性も感じていますので、是非この点に関しても御検討をいただきたいと思います。
以上です。